囲み II-6 拡大HIPCイニシアティブの対象国一覧(2005年8月時点)

重債務貧困国(HIPC: Heavily Indebted Poor Countries)とは、貧しくかつ重い債務を負っている開発途上国を指す。1996年以降、世界銀行/IMFにより、1993年時点の一人当たりGNPが695ドル以下で、債務総額が年輸出額の2.2倍以上もしくはGNPの80%以上を占める国42か国がHIPCに認定された。
HIPCイニシアティブとはHIPCの債務を持続可能な水準まで引き下げる国際的な債務救済措置イニシアティブで、1996年のリヨン・サミットで合意された。さらに1999年のケルン・サミットにおいて、HIPCイニシアティブに関し、より手厚い債務救済を実施することが合意されたことを受けて、現在、拡大HIPCイニシアティブと呼ばれている。
拡大HIPCイニシアティブに基づく債務救済は、決定時点と完了時点の2段階に分けて実施される。まず第1段階として、HIPC認定国は、債務救済により利用可能となる資金の使途についての指針を盛り込んだPRSPを策定し、世銀/IMF理事会の承認を受けることとなる。世銀/IMF理事会は、提出されたPRSPやIMFなどが当該HIPC認定国に求めた経済社会改革プログラムの実施実績などを参考に、また、債務国の債務返済能力状況の分析に基づいて当該HIPC認定国に対する同イニシアティブ適用の是非を決定する。これが決定時点である。
決定時点に到達したHIPC認定国に対しては、中間救済としての債務救済が行われる。その後、第2段階として、新たな経済社会改革プログラムが実施され、良好な実績を示したと認められた場合には、完了時点を迎える。完了時点に到達した国に対して、債務残高の90%削減、もしくはそれ以上の債務救済が実施されることになる。なお、G7諸国は自主的な追加的措置として、二国間ODA債権及び適格な非ODA債権の100%削減を表明している。
注1)ラオスは、拡大HIPCイニシアティブの適用を申請しない旨表明している。
注2)対象国の経済指標は継続的に見直されているため、これら4か国に関しては、現在、同イニシアティブ適用なしでも債務支払能力があると見込まれている。