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(4)政策協議の強化
日本の援助は長年被援助国からの要請に基づいて援助を実施するという「要請主義」をとってきました。しかし、開発支援が十分な効果を上げるためには、開発途上国に対する援助の内容について、被援助国との緊密な政策協議を通じて、互いの認識や理解を共有していくことが必要です。このためODA大綱は、自助努力支援という観点から引き続き被援助国からの要請を必要としつつも、ODA政策の立案及び実施にあたっては、要請を受ける前から政策協議を活発に行い、その開発政策や援助需要を十分に把握し、開発途上国の開発政策と日本の援助政策の調整を図ることを目指しています。
政策協議の強化に向けた取組として、2003年度には、在外公館を中心にJICA、JBICなど、援助実施機関の現地事務所を主要なメンバーとして構成される現地ODAタスクフォース(以下、現地TF)を立ち上げ、この現地TFが現地政府と活発な政策協議を行うことによって日本の援助政策と開発途上国の開発政策の調和を図ることで、効率的・効果的な援助の実現を可能にすることを目指しています。現地TFのこうした役割は、新ODA中期政策においても、「現地TFは、国別援助計画及び重点課題別・分野別援助方針で示される中期的な取組の方針が実際の案件形成・要請・実施に反映されるよう、中期的視点から見た重点分野や政策・制度上の課題につき被援助国と認識を共有し、また、意見調整を行うため、必要に応じて東京からの参加者も得つつ、政策協議を実施する」として確認されており、2004年度には、ベトナム、カンボジア、フィリピン、中国、ボリビア、エルサルバドル、ウズベキスタン、カザフスタンなど多くの国で、現地ベースの政策協議が実施されています。
なお、ODA大綱では、要請を受ける前から積極的に案件の形成を図るとともに、政策及び制度の改善努力の支援を行うこととしています。具体的には、日本は、案件形成のための調査事業を実施することによって開発途上国の案件形成能力の向上を支援するとともに、被援助国における優良案件の発掘・形成を行い、当該国政府に協力の方向付けを行うという業務を遂行してきています。また、開発途上国の開発重点分野に精通したJICAの企画調査員を現地に派遣して、相手国関係機関との連携のもと、優良案件の発掘・形成などを能動的に行っています。