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(3)政府と実施機関との連携
効率的・効果的な援助を実施するためには、関係府省間の連携のみならず政府と援助実施機関の連携を強化することにより、一貫性を確保しつつ有機的な連携のもと援助を行うことが重要になります。政府と実施機関(JICA、JBICなど)の役割、責任分担を明確にしつつ、政策と実施の有機的な連関を確保していかなければなりません。また、それを促進するために人事交流を含む両者の連携を強化し、政府と実施機関のみの連携に留まらず、実施機関相互の連携を強化することが重要です。
2003年10月にJICAは独立行政法人化しました。これにより、政府が政策の企画・立案を行い、その政策に基づく技術協力などの事業の実施をJICAが担うとの役割分担が一段と徹底されるとともに、独立行政法人たるJICAの自主裁量を高め、より効率的・効果的に業務を実施することが期待されています。
また、JICAは、独立行政法人化を機に、ODA実施体制強化を目的に、2004年4月、JICA本部の組織再編を行いました。「現場主義」を掲げ、開発途上国の様々な開発問題により的確かつ迅速に対応できるよう、在外事務所の体制を強化しました。また、2005年3月には「JICA改革プラン第2弾」として「国内事業の改革」と「国内機関の再編」を柱とする改革案を発表し、現地プロジェクトと国内研修との一体化や国内機関再編などを打ち出しました。これら一連の改革により、JICAは開発途上国のニーズに的確に即応できるようなODAの実施体制を整えて行く方針です。
また、JBICは、3年に一度、その業務を効果的かつ効率的に実施するために重点分野及び地域、その他の事項についての実施方針(海外経済協力業務実施方針)を定めることとされています。2004年度はその改訂の年にあたり、2005年度から2007年度末までの海外経済協力業務実施方針を外務大臣に提出し、2005年3月承認されました。今回の改訂により、開発成果重視の取組などを基本的方向とし、重点分野を貧困削減への支援、持続的成長に向けた基盤整備、地球規模問題・平和構築への支援、人材育成への支援をする旨明記されました。また、配慮すべき事項として、現地機能の強化や評価の充実、国民の理解を深めるための広報の強化を挙げています。
図表II-34 ODA関係府省間各種会議の開催状況(2004年度)

また、JBICは、国際機関や他国の援助機関とも連携しており、例えば、[1]DAC・貧困削減ネットワーク(POVNET:Network on Poverty Reduction)インフラタスクチームにおいてチーム長として、ドイツ復興金融公庫(KfW:Kreditanstalt für Wiederaufbau)、フランス開発庁(AFD:Agence Française de Développement)、USAID(米国)、英国際開発省(DFID:Department for International Development)などとともに今後のインフラ支援に関する諸原則を取りまとめ、[2]ユネスコ世界遺産センターと業務協力協定を締結し、世界遺産保全と貧困削減を実現するための定期協議会を開催、[3]AFD、KfWと借款の有効性に関するセミナーを開催、[4]ベトナム、インドネシア、フィリピンなどで援助手続きの調和化について世界銀行、ADBなどと連携するなど、様々な活動を行っています。
実施機関であるJICAとJBIC間の連携については、従来から情報・意見交換が行われていましたが、それに加え、[1]ODAをより効率的、効果的に実施するために、現地ODAタスクフォースなどを通じた案件の策定・準備のための協議の実施、[2]具体的な案件の実施及び完成後の維持管理などの各段階での連携の強化、[3]人事交流の推進、などを通じ関係が強化されてきています。また、2004年3月に外務省をはじめとする関係省庁が、連携フィージビリティ調査の拡充、連携専門家の採択など、連携制度の改善を決定したことを受け、JICAとJBICの間でより具体的な調整メカニズムの構築に着手しました。
図表II-35 JICA-JBICとの連携事例(2004年度)
