本文 > 第II部 > 第2章 > 第2節 > 3.地球的規模の問題への取組 > (4)食料
(4)食料
世界では約8億人(注)が飢餓に瀕しており、このうち約3億人は子供であり、5秒に1人の子供が飢餓に関係する理由で亡くなっていると言われています。こうした状況を改善するために、世界食料サミットで採択されたローマ宣言及びMDGsでは、2015年までに飢餓に苦しむ人口比率を半減させるとの目標が掲げられています。また、内戦、自然災害、経済危機の発生などの理由により、食糧支援の必要性は高まり続けています。
日本は、既に説明したとおり、食料不足に直面している開発途上国に対して食糧援助を行うとともに、開発途上国の食料生産性の向上に向けた努力を中長期的に支援する取組を並行して進めています。食糧援助については、飢餓への対応として人道的見地から実施しており、アフリカなどの食料不足に直面している国を対象として、2004年度には食糧援助(KR)により、総額104億4,400万円の支援を行いました。このうち、二国間支援を通じて、46億3,000万円を実施し、国際機関(WFP及び国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA:United Nations Relief and Works Agency))経由では、58億1,400万円の拠出を行いました。特にWFPに対しては、積極的に貢献しており、2004年はWFP経由で実施したKRを含め1億3,573万ドルの拠出を行い、米国、ECに次いで第3位の援助国となっています。
緊急状態において、生命の危機に瀕している人々に対しては一般食料配給が重要ですが、受益者の自立支援を促進する観点からは、プロジェクト型の食料援助活動が重要になります。日本は、WFPが実施する学校給食、「Food-for-Work」(労働の対価としての食糧配給)などのプロジェクトを積極的に支援しています。世界では、約1億人の子供が小学校に通っていませんが、学校給食を実施することで、児童の出席率及び授業への理解度が向上し、さらに出席した児童、特に女児に対して家に持ち帰るための食糧も併せて配給することで、家族の生活補助と、家族の教育に対する理解促進にも役立っています。また、「Food-for-Work」は、地元農民の参加により農村インフラなどの整備を実施し、その労働の対価として食糧配布を行う事業であり、地元住民の自助努力の向上を企図しています。

WFP、JICAとの協力で作られたソバ・クッキーを食べる子供達。ソバ・クッキーの配給により通学する子供が増えた。(ミャンマー)
図表II-19 食糧援助の地域別配分
