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第2章 日本のODAの具体的展開と新たな政策~ODAの更なる改革を目指して~

▲スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波災害で被災した子どもを診療する、国際緊急援助隊・医療チームのスタッフ(インドネシア)(写真提供:JICA)
▲スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波災害で被災した子どもを診療する、国際緊急援助隊・医療チームのスタッフ(インドネシア)(写真提供:JICA

▲安全な水の供給は、日本のアフリカ支援の中で重要なものの一つ。(エチオピア)(写真提供:JICA)
▲安全な水の供給は、日本のアフリカ支援の中で重要なものの一つ。(エチオピア)(写真提供:JICA)

▲ODAタウンミーティング「ODA民間モニターからの報告」の様子。
ODAタウンミーティング「ODA民間モニターからの報告」の様子。

Point

●2005年2月、新ODA中期政策を策定。ODA大綱のもとで援助に関する基本的指針として、ODAの効率的・効果的な実施を目指す。
●分野別の援助方針を明示し、推進するため、「防災協力イニシアティブ」、「ジェンダーと開発(GAD)イニシアティブ」、「「保健と開発」に関するイニシアティブ」を発表。
●インドネシア・スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波災害に対し積極的な支援を迅速に実施。
●ODA大綱及び新ODA中期政策に沿った形でさまざまな取組及び改革を推進。


 国際的な開発問題への関心の高まり、日本国内の厳しい経済・財政状況やODAに対する国民の厳しい見方などを踏まえ、日本政府としては、限られたODA資金をより有効に活用するため、ODAに関する戦略をこれまで以上に明確化していくことが求められています。
 政府は、2003年8月、開発援助の理念や原則などを明確化した基本文書である政府開発援助大綱(以下「ODA大綱」)を改定しました。ODA大綱では、ODAの目的を「国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資すること」とし、ODAの戦略性、機動性、透明性、効率性を高めるとともに、幅広い国民参加を促進し、日本のODAに対する内外の理解を深めることとしています。また、2005年2月に策定された政府開発援助に関する中期政策(以下「新ODA中期政策」)においては、ODA大綱の目的を踏まえ、「戦略的かつ効率的なODAの活用を通じて、我が国の地位にふさわしい役割を果たす」こととしています。
 開発途上国の開発に対する支援は単に開発途上国の利益となるだけではなく、国際貿易の恩恵を享受し、資源・エネルギー、食料などを海外に大きく依存している日本自身の利益とも深く結びついています。日本としては、ODAの戦略的な活用を通じて開発途上国の安定と発展のために積極的に貢献していきます。

 こういった貢献策として、第I部でも述べたとおり、日本は2005年7月のG8グレンイーグルズ・サミットなど主要な国際会議の場で、今後5年間でのODA事業量の100億ドルの積み増しやODAの倍増を含めた各種のアフリカ向け支援策、「日米戦略的開発協調」の立ち上げなど、新たな取組を表明しました。また、従来からの支援も着実に実施してきているところです。

 以下では、2004年度(注)のODAを具体的に説明します。第1節では、2004年度のODAの特筆すべき動きである、新ODA中期政策の策定、分野別イニシアティブの策定、インドネシア・スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波災害に対する支援について説明し、第2節以降では、ODA大綱の構成に従って、2004年度のODA実績を報告します。


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