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第1章 実績から見た日本のODA

▲日本の支援で建設されたインドの地下鉄(デリーメトロ)に試乗する小泉総理大臣。デリーメトロはインドの首都デリーの交通渋滞緩和や大気汚染の軽減を目的に建設された。(写真提供:JBIC)
▲日本の支援で建設されたインドの地下鉄(デリーメトロ)に試乗する小泉総理大臣。デリーメトロはインドの首都デリーの交通渋滞緩和や大気汚染の軽減を目的に建設された。(写真提供:JBIC

Point

●2004年(暦年)のODA実績は、対前年比0.3%増の約89億555万ドル。
●日本は、前年に引き続き世界第2位の援助国。

 2004年の日本の政府開発援助(ODA:Official Development Assistance)実績(注1)は、二国間ODAが対前年比6.6%減の約59億1,719万ドル、国際機関を通じたODAが対前年比17.4%増の約29億8,836万ドルで、ODA全体では、対前年比0.3%増の約89億555万ドル(円ベースでは、対前年比6.5%減の約9,627億円)となりました。このうち、二国間ODAがODA全体の約66.4%を占めており、二国間ODAが中心であることが分かります。二国間ODAについては一般に、開発途上国との協議を経て策定した援助プロジェクトを実施することなどにより、日本と被援助国との友好関係の増進にも貢献することが期待されています。また、国際機関を通じたODAは、ODA全体の33.6%を占めています。国際機関を通じたODAは、国際機関の専門的知見の活用、政治的中立性の確保、政府ベースの援助が届きにくい国・地域への支援が可能であるなどのメリットがあり、日本は国際機関とも連携しながら、柔軟な対応をとっています。
 二国間ODAの内訳を見ると、無償資金協力が約43億2,387万ドル、技術協力が約28億676万ドル、政府貸付等が約▲12億1,344万ドルとなりました。政府貸付等がマイナスとなるのは、統計上、開発途上国に対する円借款(貸付実行額)から、開発途上国からの返済(回収額)及び重債務貧困国(HIPC:Heavily Indebted Poor Countries)(注2)などに対する債務免除の元本を差し引いた額を実績値として集計しているためです。(注34)具体的には、貸付実行額が対前年比1.0%増の60億3,991万ドルであるのに対し、アジアを中心とした開発途上国からの過去の円借款等についての回収額が対前年比22.2%増の49億9,863万ドルと大きく積み上がったことに加え、債務免除によりマイナス計上される元本分が22億5,472万ドルにのぼっています。なお、無償資金協力約43億2,387万ドルについては、債務免除の元本分及びその利息分が含まれています。

  開発途上国への円借款(貸付実行額)
               60億3,991万ドル
  返済分(回収額)    ▲49億9,863万ドル
  債務免除分       ▲22億5,472万ドル
              ▲12億1,344万ドル
 (債務免除分を除いた場合  10億4,128万ドル)

図表II-1 2004年の日本のODA実績

図表II-1 2004年の日本のODA実績

図表II-2 日本の二国間ODAの形態別実績

図表II-2 日本の二国間ODAの形態別実績


 債務免除を除いた二国間ODAを援助形態別(支出純額ベース)に見れば、無償資金協力が対前年比15.7%増の約19億6,159万ドル(二国間ODA全体の約33.8%)及び技術協力が対前年比2.2%増の約28億676万ドル(同約48.3%)で、政府貸付等は対前年比44.9%減の約10億4,128万ドル(同約17.9%)となっています。

図表II-3 日本の二国間ODAの地域別実績

図表II-3 日本の二国間ODAの地域別実績


 二国間ODAの地域別実績では、アジアへの援助が対前年比21.1%減の約25億4,456万ドルとなり、二国間ODAの約42.3%を占めたほか、アフリカは対前年比22.1%増の約6億4,697万ドル(二国間ODAの10.9%)、中東は対前年比147.5%増の約10億3,087万ドル(同17.3%)、中南米は対前年比33.3%減の約3億930万ドル(同5.2%)、大洋州は対前年比19.2%減の約4,215万ドル(同0.7%)、欧州は対前年比34.7%減の約1億4,069万ドル(同2.4%)となりました。中東への援助額が前年の2倍近くになっているのは、イラクへの復興支援が約10億5,000万ドル増加したためです。近年、アジアの発展に伴う援助需要の変化などを背景にアジアへの経済協力が占める割合は徐々に減少しつつありますが、アジアは開発途上地域において1日1ドル未満の貧しい生活を余儀なくされている人々の3分の2を抱えていることから、依然として経済協力へのニーズが高い地域です。このため、今日でも、日本との関係が深いアジアへの支援が最も多くを占めています。

図表II-4 DAC主要国のODA実績の推移

図表II-4 DAC主要国のODA実績の推移

図表II-5 二国間ODAの地域別配分の推移

図表II-5 二国間ODAの地域別配分の推移

図表II-6 DAC諸国におけるODA実績の対GNI比

図表II-6 DAC諸国におけるODA実績の対GNI比

図表II-7 DAC諸国におけるODA実績の国民一人あたりの負担額

図表II-7 DAC諸国におけるODA実績の国民一人あたりの負担額

図表II-8 日本のODA実績と対GNI比率の推移

図表II-8 日本のODA実績と対GNI比率の推移

図表II-9 日本の二国間援助に占めるLDC向け援助額

図表II-9 日本の二国間援助に占めるLDC向け援助額

図表II-10 日本の二国間援助に占めるLDC向け贈与の割合

図表II-10 日本の二国間援助に占めるLDC向け贈与の割合

図表II-11 日本のODA予算の推移・他の主要経費の推移(当初予算ベース)

図表II-11 日本のODA予算の推移・他の主要経費の推移(当初予算ベース)


Coffee Break どうして援助するの?


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