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(4)平和の構築・災害への取組
MDGsを達成するためには紛争を予防し、災害に適切に対処することが不可欠です。紛争や災害は、長年の開発努力の成果を瞬時に失わせ、膨大な経済的損失を生み出し、MDGs達成のための大きな阻害要因となります。例えば2004年12月のスマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波災害を考えると、それは明らかです。そのため、MDGs自体には含まれていないものの、紛争・災害への対処を通じて開発途上国の平和と安定及び防災を確保することはMDGs達成のためには不可欠な前提条件です。日本は、紛争・災害に対して、緊急支援から復興開発までの様々な段階において切れ目ない支援を展開し、開発途上国の平和と安定の確保を通じてMDGs達成に向けて引き続き貢献していきます。
(イ)平和の構築
国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)によれば、「MDGsの達成に最も遠いと思われる34の開発途上国のうち、22か国が、紛争継続中、或いは紛争後の不安定な状況にある。また、紛争による災禍が様々な社会開発指標を悪化させており、紛争から立ち直ったばかりの国のうち、40%(アフリカのみに注目すれば60%)が、再び紛争状態に陥っている」としています。
こうしたことから、日本は平和の構築を重視し、最近ではアフガニスタンやイラクなどで支援を行っています。

アフガニスタンの議員選挙の様子。日本は選挙監視団を送り、民主化を通じた平和の構築に貢献している。
(ロ)災害への取組
地震、津波、豪雨などの自然災害は、世界各国に深刻な被害を及ぼす地球的規模の問題です。特に開発途上国は災害に対して脆弱であり、災害により人々の生活が破壊され、経済社会の開発が阻害されないよう対処することは、貧困削減、ひいてはMDGsを達成する上で重要な前提条件の一つです。1978年から2002年までの25年間で自然災害により死亡した人数の9割以上が開発途上国に集中しています。
日本は、地震、津波、台風など様々な自然災害の多い国であることから、防災対策に関する豊富な経験や技術を蓄積してきました。こうした日本の経験や技術を活用して、防災分野における最大のドナーとして、開発途上国の災害に強い社会づくりへの取組を支援していきます。また、日本は国連防災国際会議を開催するなど、国際防災に対する取組にも主導的役割を果たしており、今後ともその役割を強化していきます。

災害情報地図(ハザードマップ)を作成する様子(パルバドス:「カリブ災害監理プロジェクト」) (写真提供:JICA)
以上のような考えのもと、第2節においては、経済成長を通じて貧困削減を図るためのアプローチを紹介し、第3節においては、貧困層に直接的に裨益する社会セクターへの支援を通じて、日本がどのようにMDGsに貢献しているのかを事例を紹介しながら説明していきます。
図表I-6 防災・災害復興分野における日本の資金協力と緊急援助の実績(2004年度)
