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(3)経済成長を通じた貧困削減

 MDGsの第一の目標として、貧困削減が挙げられています。MDGsが達成されるためには貧困が一時的に削減されるだけでなく、貧困削減の努力を持続させる必要があり、このためには持続的経済成長が不可欠です。
 東アジアでは、インフラを含む投資環境の整備を通じ民間セクターからの投資を誘致し、貿易などの経済活動を活性化させることにより、経済成長を促進しました。かつて、東アジアの一人当たりの国内総生産(GDP:Gross Domestic Products)は、サブ・サハラ・アフリカより低い水準にありましたが、東アジアにおける一人当たりのGDPの伸びは著しく、現在サブ・サハラ・アフリカの約3倍になっています。1981年から2003年の間に、東アジアの一人当たりGDPの成長率は年平均5.5%に及び、1日1ドル未満で生活する絶対的貧困人口は4億人減少しました。DACの統計によれば、1980年から2003年の間にアフリカに供与された約2,089兆ドルのODA額に較べ、東アジアに対しては約1,079兆ドルと、アフリカ諸国より少ない資金でこうした成長に寄与していることがわかります。
 東アジアの発展の経験が示すものは、ODAとともに、民間資金の流入に支えられた経済成長が、結果的に貧困削減に貢献するということです。特に、近年の経済のグローバル化に伴い開発途上国に海外から流入する資金総額は2,641億ドル、そのうちODA総額は670億ドル(ともに、2003年DACベース:暫定値)と、ODAは開発途上国へ流入する資金の約4分の1を占めています。これらの資金を活用し、持続的な経済成長を通じた貧困削減をはかる前提として、制度・政策環境の整備、政府のキャパシティ・ビルディング、良い統治、健全なマクロ経済政策運営が重要です。日本はこれらの重要性を認識し、ODAを通じ、引き続き支援を行っていきます。

図表I-3 東アジアとサブ・サハラ・アフリカの一人あたりGDPの推移

図表I-3 東アジアとサブ・サハラ・アフリカの一人あたりGDPの推移

図表I-4 DAC諸国からアジア・アフリカへ供与されたODA額の推移

図表I-4 DAC諸国からアジア・アフリカへ供与されたODA額の推移

図表I-5 DAC諸国および国際機関から開発途上国への資金の流れ

図表I-5 DAC諸国および国際機関から開発途上国への資金の流れ



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