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第I部 ミレニアム開発目標(MDGs)に対する日本の取組

住民参加の植林活動の様子(インド:タミルナド州植林計画)(写真提供:JBIC)

ネリカ稲栽培の技術指導を行う専門家(ウガンダ)(写真提供:JICA)

村の助産スタッフ再教育の様子(ベトナム)(写真提供:JICA)
第I部 Summary
第I部では、世界共通の開発課題であるミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)について特集しています。
MDGsは、2000年の「国連ミレニアム宣言」を受け、21世紀に全世界が取り組むべき共通の開発課題として設定された開発目標です。貧困の撲滅や初等教育の完全普及など、8つの目標からなっており、2015年までの達成を目指して、現在、日本を含め世界のほとんどの国々がその達成に向けて努力しています。
MDGs達成に向けた進捗状況は5年ごとに検証することになっており、2005年はその初めての機会となる重要な年に当たります。現在のMDGsの進捗状況としては、地域的に見ると、東アジアでは比較的取組が進んでいるものの、南アジアにはいまだ多くの貧困人口を抱え、さらなる努力が必要です。また、サブ・サハラ・アフリカはMDGsの達成が危ぶまれており、特に配慮が必要な地域です。2005年9月の国連首脳会合では、全世界から180以上の首脳級が一堂に会し、MDGsの達成に向けて努力することを改めて確認しました。
日本もMDGs達成に向けて積極的に取り組んでいます。その際、特に、開発途上国のオーナーシップと国際社会のパートナーシップ、個々の人間に焦点を当てた「人間の安全保障」の視点、経済成長を通じた貧困削減、そして開発の前提となる平和の構築・災害への取組を踏まえた支援を重視しています。
MDGsの第1番目の目標である貧困削減を達成するためには、経済社会資本(インフラ)や投資環境の整備による経済成長を通じて、開発途上国の貧困層の所得向上を図ることが必要です。こうした考えに基づき、日本は、タイの「東部臨海開発計画」といった大規模インフラ支援や、農村におけるかんがい施設整備などの小規模なインフラ整備支援を実施し、成果をあげてきました。
また、MDGs達成のためには、貧困層に直接裨益する基礎社会サービスへの支援も必要です。そのため日本は、MDGsの目標2から7までの各目標に関連した社会セクターにおいて、様々な取組を進めてきました。成果をあげた例として、保健分野における母子手帳の普及や水・衛生分野における住民組織の強化などがあります。
MDGs達成には、引き続き日本を含め国際社会全体が努力することが必要です。日本は、MDGsを開発援助政策の重要な柱の1つと位置づけ、2005年に開催された主要な国際会議において、MDGs達成のための貢献策として、日本にふさわしい十分なODA水準の確保への努力と今後5年間でのODA事業量の100億ドル増額、アフリカに対する今後3年間でのODA倍増などを表明しました。今後は、引き続きODAの効率化、効果向上に努めるとともに、こうした約束を確実に実行に移し、MDGs達成に貢献していきます。