前頁前頁  次頁次頁


資料編 > 第4章 > 第2節 > 8 スウェーデン

8 スウェーデン

(1)援助政策等
 スウェーデン国会は2003年12月、政府が提出した「共有責任:全地球的発展のためのスウェーデンの政策」を全会一致で承認した。新政策は、公正で持続可能な全地球的開発への貢献を目標とし、人権の視点を浸透させ、貧困者の視点を基礎とすることとしている。この中では、新政策の目標達成に向け、通商、農業、環境、安全保障、移民、経済等の各分野の政策における一貫性を確保することの重要性を強調し、[1]人権の尊重、[2]民主主義及び良い統治、[3]男女共同参画、[4]天然資源の維持可能な使用・環境保護、[5]経済成長、[6]社会開発・社会保障、[7]紛争防止・解決、[8]国際公共財の各主要構成要素に関連した活動を強化することとしている。開発協力は、全地球的発展のための、特に最貧国に焦点を当てた主要な手段として位置づけられ、貧困撲滅のための自助努力を支える環境への貢献を目的とし、被援助国自身の戦略及び優先度に基づいた援助を目指している。
 スウェーデンの開発協力における二国間援助と国際機関を通じた援助の比率は、1980年代以降、概ね7対3で推移してきている。国際機関を通じた援助においては、1980年代までUNDP及びUNICEFに対する援助が国際機関に対する援助の過半を占めてきたが、最近では難民支援に力を入れており、UNHCRに対する援助の占める割合が累増している。また、贈与比率は99%以上であり、アンタイドを原則としている。
 スウェーデン政府は1996年、財政再建のため1997年度以降の3年間、開発協力予算を対GNI比0.7%の水準まで引き下げることを決定したが、その後の財政状況の回復を受け、対GNI比1%を開発協力に割り当てることを目標に、2001年度以降の3年間で開発協力予算を30%増額してきている。
 2003年度のスウェーデンのODA実績(DAC統計ベース)は、21億ドル(対GNI比0.70%)、対前年度比5.5%増(名目ベース)であった。
 2005年度予算に向けた2004年春の財政政策提案においては、開発援助予算を約5億9,000万クローネ増額し、予算ベースの対GNI比を0.87%に維持しつつ、現政権の任期中に対GNI比を1.0%に引き上げることについて、与党社会民主党並びに閣外協力与党左翼党及び緑の党が合意に達した。

(2)実施体制
 援助の担当大臣は、開発協力大臣(スウェーデン政府には、外務省の長たる外務大臣とは別に開発協力担当の内閣相が置かれている。)であり、これを外務副大臣(開発協力担当)及び外務省全地球開発局が補佐している。開発協力政策の企画・立案及び予算計上は外務省が行い、援助の実施は、外務省全地球開発局(国際機関を担当、2003年12月時点の職員数65人)及びスウェーデン国際開発協力庁(Sida:二国間援助を担当、同769人(国内599人、海外170人)が行う。国別援助戦略は、Sidaが被援助国との広範な協議に基づいて作成・立案し、外務省が承認する。現在、40の国別援助戦略が存在するが、それぞれ被援助国との協力関係を多様な観点から検討し、一定期間内にスウェーデンが関与すべき事項が示されている。

表

図

図


前頁前頁  次頁次頁