前頁前頁  次頁次頁


資料編 > 第3章 > 第1節 > 2 > (2)主な事業概要と実績 > [7]開発調査事業

[7]開発調査事業
1.事業の開始時期・経緯・目的
開始時期
 1962年に海外技術協力事業団(国際協力事業団の前身)が設立された際に、外務省の委託調査を引継ぎ、さらに通商産業省から海外開発計画調査が委託され、政府ベースによる技術協力の一環としての開発調査事業が形成された。
目 的
 開発調査事業の目的と意義は次の通りである。
(1) 政策及び開発計画の策定支援
 対象プログラム/プロジェクトについての調査を実施し、途上国の社会・経済発展に資する政策及び公共的な各種事業の開発計画の策定を支援する。
(2) 技術移転
 調査の過程で、現地での技術指導、セミナー等を通じて技術移転を行い、途上国の人材育成に貢献する。
(3) ODAの統合的運用の基礎
 調査報告書等により提言された内容は、日本や他の援助に対する技術協力及び資金協力要請の基礎資料となり、ODAの統合的運用の基礎としての役割を果たす。

2.事業の仕組み
概 要
 開発調査事業は、途上国の開発計画に対し、学識経験者やコンサルタント等からなる調査団を派遣して現地協議/調査(データ収集等)と現地/国内での分析作業の上、計画を策定し、調査に係る提言を行う。
 主な事業の種類と内容は次の通りである。
(1) 政策支援型開発調査
 旧社会主義国の市場経済化や途上国の経済自由化政策を支援するため、必要な制度改革に関する基本戦略等を策定したり、相手国中枢部との直接対話を行う。
(2) セクター・プログラム開発調査
 日本のODAの効率的投入を確保するため、相手国の特定セクターを対象として、先方政府や他援助との調整を行いつつ、当該セクターの包括的な開発戦略を策定し、当該セクターに対する日本のODAの実施調整を行うもの。
(3)マスタープラン調査(M/P
 各種の開発計画の総合基本計画を策定するための調査で、全国または地域レベルあるいはセクター別の長期計画を策定する。
(4) フィージビリティ調査(F/S
 個々のプロジェクトが技術的、経済的、社会的に、さらには環境等の側面から見て実行可能であるか否かを検証し、最適な事業計画を策定する。
(5) 実施設計調査(D/D
 プロジェクトの工事着工に必要な設計図、工事仕様書、入札関係書類等を作成する。フィージビリティ調査よりも高い精度で、設計図面作成や、工事費積算を行う。
(6) 緊急開発調査
 大規模な自然災害や内戦により被害を受けた国に対する復興支援のため、緊急復興計画を策定するとともに、緊急復旧のためのリハビリ事業を実施する。
審査・決定プロセス
 日本の在外公館を通じて要請が提出された案件の中から、日本援助政策との整合性、プロジェクトの内容、効果、事業化計画等の妥当性について検討を行い、実施案件を選定する。
決定後の案件実施の仕組み
 案件の実施決定後は、国際協力機構(JICA)が実際の調査事業を行う。
 JICAは通常、専門家等からなる事前調査団を派遣して途上国の政府機関と調査内容等についての協議を行い、調査範囲、内容、方法等を定めた実施細則(Scope of Work)を署名・交換する。その後、JICAが公正な技術力評価を基に選定したコンサルタント等が実施細則に基づく調査を実施し、提言内容等に関する調査報告書を途上国側に提出する。

3.最近の活動内容
概 要
 2003年度は、各種の調査をあわせて計556件を実施した。
地域別実績
 引き続きアジア地域の割合が他の地域に比べ高く、その他の地域においては昨年度に比べ、中東、大洋州、東欧・中央アジアの実績が高く、アフリカ、中南米が低い実績となっている。

表

主要な事業
 2003年度に実施した主な分野及び案件の例は次のとおり。
 政策支援分野の例として、モンゴルでは「市場経済化支援調査(徴税機能強化支援調査)」を2000年度以来継続して実施している他、インドネシアではアジア経済危機後の新しい政治・経済体制構築に向けた同国の各種改革を支援する「経済政策支援」を2001年度に引き続き実施している。
 平和構築に対する支援の例として、アフガニスタンのカブール、カンダハールにおいて復興支援計画の策定及び緊急リハビリ事業を行う「緊急復興支援調査」を実施した。
 社会開発(保健・教育等)分野の例として、スリランカでは保健医療サービスの改善をはかるための「保健医療制度改善計画調査」を実施したほか、セネガルでは就学前児童の生活改善を目的とした「子どもの生活環境改善計画調査」を実施した。
 また、資金協力との連携を促進する観点から、円借款による事業化を想定した実施設計調査を引き続き行っており、フィリピンでは新規に導入される航空管制システムに対して、「次世代航空保安システム整備事業連携実施設計調査」を実施した。
 二国間協力のみならず複数国に跨る広域地域の持続的開発に寄与する目的でも事業を実施しているが、その例として、メコン河委員会に対し、メコン河流域の4か国を対象とした水利用計画の策定を支援する「メコン河流域水文モニタリング計画調査」を2001年度に引き続き実施している。
 鉱工業分野は、基本的に海外開発計画調査事業(本節2.(2)[13]参照)及び資源開発協力基礎調査事業(本節2.(2)[17]参照)として実施されており、例としては、国際通商ルールヘの対応能力強化を目的として「APEC地域WTOキャパシティ・ビルディング協力プログラム」をASEAN4か国を対象に実施したほか、環境分野の協力として「ルーマニア有害廃棄物処理計画」、エネルギー分野として「フィリピン電力構造改革のためのエネルギー省キャパシティ・ビルディング開発調査」等を実施した。
分野別実績

表

4.より詳細な情報
ホームページ
 http://www.jica.go.jp


前頁前頁  次頁次頁