前頁前頁  次頁次頁


本編 > 第II部 > 第2章 > 第6節 > 1.援助政策の立案及び実施体制 > (5)現地機能の強化

(5)現地機能の強化
 ODAの戦略性・透明性・効率性の向上や説明責任の徹底を図るためには、国別の援助戦略構築における現地の役割の強化が必要であるとの考えのもと、ODA大綱では「現地機能の強化」の方針が打ち出されました。援助政策の決定・実施過程において在外公館及び実施機関現地事務所などが一体となって主導的な役割を果たすようその機能を強化し、そのような努力と共に、現地を中心として、被援助国にとって何が開発上の優先課題になっているのか、その中でもどのようなことに日本の貢献が求められているのかを総合的かつ的確に把握することとしています。具体的には、在外公館や実施機関の現地事務所などにその国についての知見や経験をもつ外部人材を活用したり、現地に精通した現地関係者と連携したりすることを通じて現地の経済社会状況などを十分把握すること、そして、そのような仕組みを作ることが重要です。
 このような現地機能の強化により日本は他ドナーとの援助協調においても積極的な貢献を行っています。被援助国政府のオーナーシップの下に、ドナーを含む関係機関が協力し策定・実施されるPRSPの策定・見直しが進められています。このようなPRSPの動きに併せて、現地ベースでの援助協調の動きは各地で本格化しており、それに対し日本は例えば、ベトナムでPRSPの経済成長戦略拡充におけるドナー協議をリードするなど、援助の効率化を目指し活発に議論に参加して積極的に貢献しています。 

■現地ODAタスクフォース

 既に触れたとおり、現地における日本の限られた人的リソースを効率的に活用するため、現地ODAタスクフォースを援助の重要性の高い国を中心として立ち上げています。これまでに、64か国(注)で現地ODAタスクフォースが立ち上がり、主に次のような活動を行っています。

[1]被援助国の開発を巡る動向の把握・分析
 被援助国の開発計画やマクロ経済情勢等の分析、重点セクターに関する情報の蓄積・分析、援助アプローチの検討、さらには過去の経済協力に関する評価等を行います。多くの現地ODAタスクフォースでは、月に1~4回程度全体会合を開催する他、別途分科会会合も開催しています。日系企業、NGO、国際機関職員を含む邦人関係者との意見交換等も実施しています。

[2]被援助国政府との現地ベースの政策協議の実施
 日頃の情報収集・分析をもとに、被援助国政府と政策協議を行い、日本の援助方針を共有するとともに、具体的な案件形成に向けて積極的に意見交換を行っています。

[3]国別援助計画の策定・見直しのプロセスへの関与
 国別援助計画の策定作業において、骨子案あるいは原案の作成等の作業を行い、現地の視点からインプットを行っています。さらに、一部のタスクフォースでは、重点セクター毎の支援プログラムを策定しています。

[4]現地援助コミュニティとの連携
 低所得国を中心に活発化しているドナー間の援助協調に積極的に参加し、情報収集するとともに、日本の援助についての考えを発信しています。また、日本が重点とするセクターでは、必要に応じてドナー会合をリードし、政策提言を行っています(なお、現地ODAタスクフォースについてはII部2章1節、2003年版「ODA白書」66頁も参照して下さい)。


前頁前頁  次頁次頁