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(4)政策協議の強化
日本の援助は長年被援助国からの要請に基づいて援助を実施するという「要請主義」をとってきました。しかし、開発支援が十分な効果を上げるためには、途上国に対する援助の内容については、援助国及び被援助国の密接な政策協議を通じて、互いの援助に対する認識や理解を共有し開発を実施していくことが必要です。ODA大綱は、自助努力支援という観点から引き続き途上国からの要請を必要としつつも、ODA政策の立案及び実施に当たっては、要請を受ける前から、政策協議を活発に行い、その開発政策や援助需要を十分に把握することとしています。同時に、途上国の開発戦略の中で日本の援助が十分生かされるよう、途上国の開発政策と日本の援助政策の調整を図ることを目指しています。
政策協議の強化に向けた取組としては、2003年度に大使館及び、JICA、JBIC現地事務所を中心とした現地ODAタスクフォースを立ち上げることによって、ODAの実施過程における現地の役割・体制を強化したことが挙げられます。この現地ODAタスクフォースが現地政府と活発な政策協議を行うことによって、日本の援助政策と途上国の開発政策の調和が図られ、効率的・効果的な援助の実現を可能にすることを目指しています。2004年7月現在、既に64か国で現地ODAタスクフォースが立ち上げられており、これを主体として、2003年4月から2004年7月の間に、モンゴル、エチオピアなど36か国で政策協議が実施されています。
また、ODA大綱では、被援助国による要請を受ける前から積極的に案件の形成を図るとともに、案件の形成、実施の面も含めて政策及び制度の改善努力の支援を行うとしています。日本は、かねてより援助案件を形成する能力が低い途上国に対し、プロジェクト形成調査を実施することによって優良案件の発掘・形成を行い、当該国政府に協力の方向付けを行うという業務を遂行してきています。また、途上国の開発重点分野に精通した企画調整員をJICAから現地に派遣して、相手国関係機関との連携の下、優良案件の発掘・形成などを能動的に行っています。