前頁前頁  次頁次頁


本編 > 第II部 > 第2章 > 第5節 > 3.インド

3.インド
 インドは、南アジア地域の安定にとり重要な役割を果たすとともに国際社会での存在感をますます強めており、日本としても、このようなインドとの関係を重視しています。インドは、高い経済成長の反面、依然深刻な貧困問題を抱えており、社会・経済発展のためにも支援を行っています。
 1998年5月、インドが地下核実験を実施した際、日本は直ちにインドに対し強く抗議するとともに、核実験及び核兵器開発の中止、及び、NPTCTBTへの早期加入を改めて強く申し入れました。また、日本は、ODA大綱の原則を踏まえ、新規の円借款並びに緊急・人道的性格の援助及び草の根無償資金協力を除く新規の無償資金協力の停止等を内容とする経済措置を実施し、以降様々な対話の機会を捉えCTBT署名を中心とする核不拡散上の具体的進展をインドに対しねばり強く働きかけてきました。
 2001年10月、インドの核軍縮・不拡散の分野における取組の進展(核実験モラトリアムの継続等)において、日本の措置が相応の成果を上げたと考えられたこと、また、今後のテロへの取組及び南アジア地域の安定化に大きな役割を果たすインドに対し積極的な関与を深めていく必要性等を総合的に考慮し、日本は上記の経済措置を停止しました。
 経済措置の停止後、インドは核実験モラトリアムを継続していますが、2003年1月に核抑止力の構築・維持、核報復攻撃の運用等の内容を含んだ核戦略を公表しました。日本は、インドに対し、2003年1月の川口外務大臣のインド訪問、2004年6月の日印外相会談等の機会に、NPT加入、CTBT署名・批准をはじめとした軍縮・不拡散の努力を呼びかけてきました。日本としては、今後とも、インドに対してNPT加入、CTBT署名・批准を含む核軍縮・不拡散上の進展を引き続きねばり強く求めていきますが、核軍縮・不拡散分野におけるインドの状況が再び悪化するようなことがあれば、上記の経済措置の復活を含めしかるべき対応を検討することとしています。


前頁前頁  次頁次頁