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(3)地雷除去・小型武器の回収
 カンボジアやアフガニスタンのような長年の紛争に苦しんだ地域を中心として埋設されている地雷、及び、紛争犠牲者の90%以上をもたらしていると言われている自動小銃、小型ミサイルなどの小型武器は、子供や一般市民などの非戦闘員に対しても無差別な被害を与えており、人道上極めて重大な問題であるとともに、復興と開発にとって大きな障害となっています。

(イ)地雷除去への取組
 地雷除去への日本の取組は、1997年12月、対人地雷禁止条約のオタワでの署名式において、小渕外務大臣(当時)より「犠牲者ゼロ・プログラム」を提唱し、普遍的かつ実効的な対人地雷の禁止の実現と地雷除去・犠牲者支援の強化とを車の両輪とする包括的なアプローチをとることが不可欠との考えを表明して以来、積極的に進められてきました。日本は、同プログラムにおいて、地雷の除去や犠牲者支援に対する協力のために、1998年から5年間の間に100億円規模の支援を行うことを表明しましたが、2002年10月には、この支援額を達成しました。2003年度も、従来からの国際機関を通じた資金協力、対人地雷対策無償、草の根・人間の安全保障無償、日本NGO支援無償等を用いた二国間支援を引き続き行っているほか、日本は、2003年9月からは、対人地雷禁止条約(オタワ条約)の枠組みで設置されている地雷除去・地雷回避教育・地雷対策技術常設委員会の共同議長国を務めています。また、2004年3月には日本のイニシアティブにより、地雷被害国の代表、地雷の犠牲者、国際NGO等が参加して「地雷に関する東京セミナー」が開催され、活発な意見交換が行われました。日本は、今後とも世界からの地雷廃絶を訴えていくとともに、人道の視点のみならず、開発の視点も取り入れながら対人地雷対策支援を引き続き積極的に実施していきます。

(ロ)小型武器回収への取組
 小型武器への対策として、日本は単に小型武器を回収するだけではなく、小型武器を保持する理由を除去することを目的とした包括的な取組として「小型武器回収プロジェクト」を関係機関と協力して実施しています。カンボジアにおいては、政府及び地方政府と協力して、「小型武器回収の対価として開発を提供するプロジェクト」を実施しています。このプロジェクトは、武器回収の対価としての地域住民の意向に沿ったインフラ整備(道路、井戸、橋、学校の修理・建設)を供与するとともに、政府による小型武器の管理・登録のためのシステム作りを行う事業で、2003年9月には1,000丁余りの小型武器を回収し、その後2004年度末までに総計7,166丁の小型武器を回収しました。また、コソボにおいては、UNDPと協力して、小型武器回収プロジェクトを実施しています。日本は、今後ともカンボジアでの小型武器回収の経験を生かし、小型武器問題に関する取組を積極的に実施していく方針です。


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