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第I部 ODA50年の成果と歩み

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第I部
Summary

 ODA50周年を特集する第I部では、第1章において、半世紀にわたり途上国の発展に貢献してきた日本のODAの成果について具体的な事例を交えつつ解説し、第2章において、その歩みを概観するとともに、第3章において、今後の展望を記述します。

 日本は、1954年にODAを開始して以来、50年間で185か国・地域、およそ2,210億ドルにのぼるODAを供与し、途上国の開発や福祉の向上に大きく貢献してきました。こうした日本のODAは、被援助国から高く評価されているだけでなく、被援助国との友好関係の強化、ひいては日本の安全と繁栄の確保に資するものです。
 日本のODAの主要対象地域である東アジアでは、目覚ましい経済成長の結果、貧困人口を大幅に減少させています。日本のODAは、インフラ整備により投資環境を改善させ、教育、保健、衛生分野への支援等ともあいまって、海外直接投資の流入、輸出産業の振興につながり、これら諸国の経済社会の発展に貢献しました。
 また、日本は、人づくりが国づくりの基本であるとの信念から、途上国の開発を担う人材育成を積極的に支援してきました。日本の援助により開設された職業訓練機関がその国有数の大学へと変貌し有為な人材を輩出している例や、40年以上にわたる司法研修の修了者から法務大臣、最高裁長官も輩出している例などもあります。

 以上のような成果を上げた日本のODAの歩みを振り返ると、次の4つの時期に分けることができます。
 [1]体制整備期(1954~1976年頃):日本が1954年のコロンボ・プランへの加盟によりODAを開始して以来、援助実施機関の立ち上げや整理統合、援助の仕組みの多様化などを通じて援助実施体制の整備を行ってきた時期。
 [2]計画的拡充期(1977~1991年頃):累次の中期目標によりODAの量的拡充が図られ、日本のODAがグローバルに展開するようになった時期。
 [3]政策・理念充実期(旧ODA大綱期)(1992~2002年頃):冷戦後の新しい国際環境の下、1992年の旧ODA大綱や1999年の中期政策の策定などを通じて、日本の援助政策・理念をより明確にすることに特に努力を続けた時期。
 [4]新たな時代への対応(新ODA大綱)(2003年~現在):2003年8月にODA大綱が閣議決定により改定され、日本のODAが新たな転機を迎えている時期。

 現在、日本のODAは、これまでの成果と歩みを踏まえ、新ODA大綱に掲げられた理念、重点等に従って、より戦略的、効率的に、また透明性の高い形で実施していくことが求められています。政府としては、援助の有効性を高めるための努力、援助の進め方の改善、援助実施体制の整備を一層推し進め、日本の援助がより良いものとなるよう努力を積み重ねていく考えです。

第1章 ODA50年の成果

カリコント・ダム仮排水トンネルの貫通を喜ぶ技術者達。ブランタス河総合開発:インドネシア
カリコント・ダム仮排水トンネルの貫通を喜ぶ技術者達。ブランタス河総合開発:インドネシア

Point

●日本は、世界最大級の援助国として途上国の経済社会発展に大きく貢献。
●日本のODAは、途上国から高く評価され、感謝されるとともに、平和で安定的な国際秩序の構築、日本の国際社会における立場、発言力の強化を通じて、ひいては日本の安全と繁栄の確保に資するものである。
●東アジアにおいて、主に円借款を通じ発展の基盤となるインフラ整備を支援し、これら諸国の目覚ましい経済発展に貢献。
●国づくりの基本となる人づくりの面においても、途上国の開発を担う人材育成を長年にわたり支援。



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