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columnII-10 アフリカ開発会議(TICAD)プロセスにおける貿易投資促進の取組

 日本は、TICADプロセスにおいて、「経済成長を通じた貧困削減」を提唱しています。これは、アフリカの自立的かつ持続的な開発のために経済成長を実現し、国内の開発リソースを拡大することを目指すものです。特に、ODAと貿易・投資を有機的に連携させ成長を遂げたアジアの開発経験と民間活力をアフリカの開発に役立てるために、アジア・アフリカ間の貿易投資の促進に取り組んでおり、TICADの特徴的なイニシアティブとなっています。
 アジア・アフリカ間の貿易投資は、現時点では必ずしも大きいとは言えませんが、アジア諸国の急速な経済成長と資源需要を背景として、両地域間の貿易投資はアフリカと他地域との間の貿易投資に比べて急速に伸びています。例えば、1990年代のアフリカから他地域への輸出量(IMF統計)を比べると、対アジアの伸び率は年平均10.4%であり、対EUの3.7%、対米国の4.6%を大きく上回っており、両地域間の貿易投資の潜在性の大きさを示しています。
 こうした流れを後押しするために、日本は、TICADプロセスにおける具体的な取組として、アジアとアフリカの民間企業を集め、商談を行う機会を提供する「アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラム」を国連開発計画(UNDP)と共に開催しています(第1回:1999年マレーシア、第2回2001年南アフリカ、第3回2004年セネガル)。2004年4月にセネガルの首都ダカールで開催された第3回フォーラムでは、両地域から150社以上の企業が参加し活発な商談が行われ、農業、建設・エンジニアリング、情報通信、医療機器・医薬品、繊維・織物等の分野で、59件、総額約3,600万ドルの取引について商談が成立しました。
 また、2004年5月、マレーシアにおいて両地域から政府関係者とビジネス関係者を集め、貿易投資の促進に向けた双方の連携について議論する「アジア・アフリカ官民合同フォーラム」を開催しました。さらに、2004年11月1、2日には、「TICADアジア・アフリカ貿易投資会議」を東京で開催し、TICADにおける実績をもとに両地域間の貿易投資の促進に向けた国際的協力を強化していきます。
 このように、両地域間の貿易投資分野において官民双方のレベルにおける協力を推進することは、両地域間の協力の幅と奥行きを拡げるだけでなく、相互の利益となるビジネスを通じて、アジアとアフリカの協力を強化する具体的な動機づけを提示する効果があります。
 また、2005年は、1955年に開催されたバンドン会議の50周年にあたり、これを記念するアジア・アフリカ首脳会議がインドネシアで予定されており、アジア・アフリカ協力をめぐる国際的機運が高まることが予想されます。日本は、これまでのTICADプロセスの実績を基にこのような流れとも連携しつつアジア・アフリカ間の貿易投資を促進していく考えです。

第3回アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラムにて商談の様子
第3回アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラムにて商談の様子


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