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columnII-7 スポーツを通じたイラク復興支援

 2004年5月、ヨルダンで開催されたサッカーのアテネ五輪アジア最終予選で、イラク代表チームが16年ぶりに五輪出場権を獲得しました。イラクからは、サッカーに加え、柔道、レスリング、ボクシング、水泳、陸上等、計43名の選手と役員がアテネ五輪に参加する予定です。
 アテネ五輪を半月後に控えた7月末、柔道選手としてイラクから唯一五輪に参加するハイダル・ラーゼムさんが、大会直前の集中トレーニングのために来日しました。100kg超級に出場し、開会式では旗手も務めるというハイダルさんは、講道館での恵まれた環境で練習に打ち込める喜びを記者達に語っていました。
 イラクでは長期にわたるフセイン大統領の圧政とその後の武力攻撃により国内のスポーツ施設は荒廃し、器材も著しく不足しているという現状にあります。イラク国民は復興期にある現在の苦しい状況の下、国家再建に向けた努力を粘り強く継続しています。そこで、困難な状況にあるイラクの人々が心に希望を持ち、明日への期待を高めていくことが重要です。日本は、このような観点から、イラク復興支援の一環として、文化・スポーツ面での協力も進めています。具体的には、これまでに草の根文化無償協力を通じて、サッカーボール、スパイク等のサッカー器材や柔道着、柔道畳等の柔道器材を日本サッカー協会や全日本柔道連盟とも連携しつつ、提供しています。また、今年4月には、日本政府と日本オリンピック委員会(JOC)及びイラク・オリンピック委員会(NOCI)の間で、イラクのスポーツ活動の振興とアテネ五輪等の国際競技参加のために、強化種目の器材供与、強化選手のトレーニング受入、五輪参加選手への制服提供を支援することで合意しました。ラーゼムさんの集中トレーニングもこの支援の一環として行われたものです。
 政府とJOCとの協議のために来日したアル・サマライNOCI会長は、スポーツは人種、民族を超えて協力の精神を育むものであり、イラクの復興とイラク国民の自信回復のために極めて重要であると述べて、日本の協力に感謝しながら、自国選手のアテネ五輪での活躍に期待を寄せていました。

サッカー器材引渡式
サッカー器材引渡式

サッカー器材供与後の親善試合
サッカー器材供与後の親善試合


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