columnII-6 インドネシアにおける生物多様性保全支援
インドネシアは、熱帯雨林等を背景とした多くの生物種を有する国ですが、森林の消失、そして種の減少が進んでおり、残念ながら国土の6%を占める44か所の国立公園もその例外ではありません。こうした途上国における生物多様性保全への国際的協力の必要性にかんがみ、日本政府は、国際社会と協調しつつ、「生物多様性保全計画」のもと、1997年に無償資金協力によりジャカルタ南のチビノン地区に生物学開発研究センター動物部施設(今後、生物多様性保全センターを建設予定)を、ボゴールに自然環境保全情報センターを、また、グヌンハリムン国立公園に管理事務所とリサーチ・ステーションを建設しました。また、技術協力により、1995年から2003年の間、公園管理計画の策定、絶滅危惧種の調査モニタリングの強化、環境教育・エコツーリズムの推進等を支援しました。これらを通じて情報の集積が進み、多くの有能な人材が育ち、強固なネットワークができました。
更に、2004年2月に開始された技術協力プロジェクト「グヌンハリムン・サラク国立公園管理計画」では、同国立公園の保護管理の充実をはかり、そこで得られた経験や知識を他の国立公園にも普及し、インドネシア全体の国立公園における生物多様性の保護と持続的利用を推進することを目的としています。具体的には、同国の国立公園の共通の課題である、曖昧な公園区域、公園内の不法居住者、違法な伐採行為などへの対処、管理事務所内部の情報の共有や、研修の強化、といった国立公園管理手法について技術支援を行っています。
現在、グヌンハリムン・サラク国立公園では、同国立公園をモデルとした国立公園管理手法を確立することを目指して、3人のJICA専門家が、同国立公園の職員とともにプロジェクトの具体的な活動計画をつくる作業に取り組んでいます。このように、カウンターパートと一緒に汗を流し、悩み、そして知恵を出しあうなど、両者の信頼関係の下にプロジェクトを進めていくことが技術協力を成功させる上で大切なことです。

専門家と現地職員のミーティングの様子(写真提供:国際協力機構(JICA))

グヌンハリムン・サラク国立公園内の様子