囲みII-5 後発開発途上国(LDC)向けODAのアンタイド化勧告
1.勧告の概要
(1)目的と原則
OECD開発援助委員会(DAC)は、1961年の発足以来、加盟国の援助効果を高める手段について討議を重ねてきた。その中の議題の1つに、あらゆる国から財やサービスを自由に調達できる援助(「アンタイド援助」)を行うべきか否かという問題がある。長年、DACはこの問題について討議してきたが、2001年5月、援助への依存度が比較的高い後発開発途上国(LDC)向けの政府開発援助(ODA)に関し、アンタイド化を勧告することで合意し、同勧告は2002年1月に発効した。日本としては、「顔の見える援助」の観点から、アンタイド化になじまない技術協力を対象としないこと等を確保するとともに、現行の援助スキームを維持することを前提にして勧告に参加した。
(2)勧告が適用される範囲
技術協力については勧告の対象外となっている。また、食糧援助と投資関連技術協力(IRTC)をアンタイド化の対象とするかどうかは各国が任意に決めてよいことになっている。したがって、日本の経済協力のうち、勧告の対象となるのは、無償資金協力の大部分と有償資金協力となる。
(3)負担の均衡
DAC加盟国は勧告が適用される範囲(上記2)に基づき各々実施するアンタイド化の努力が、バランスのとれたものとなるように、モニタリングを通じて相互にその努力を促進していくことが合意されている。
(4) 透明性の確保
勧告は、透明性を確保し、勧告の遵守状況を監視するため、次のような手続きを規定。
(イ)アンタイドの案件については、案件毎にプロジェクト額、入札期間、調達制度等をDAC事務局に通報する。
(ロ)案件毎の落札者をDAC事務局に通報する。
(ハ)電子情報交換システムによって、DAC加盟国が互いに追加情報を求めたり、不明な点を問い合わせたりすることもできる。
(5) モニタリング
勧告がODAの量や質に与える影響、各メンバーの勧告の実施状況等につき毎年レビューを行うことになっている。
2.日本のアンタイド化実施状況
日本は、勧告との関係においては、既に調達ベースで100%のアンタイド化を実施している。また、日本の二国間ODA全体(技術協力と行政経費を除く)のアンタイド化率は、2001年約束額ベースで81.1%と、G8諸国では、英93.9%、独84.6%に次ぐ3番目の高い水準にある。