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囲みI-3 人間の安全保障基金

1.概  要
 (1)1998年12月、小渕総理(当時)はハノイにおける政策演説の中で、国連に「人間の安全保障金」を設立することを発表した。これを受け、1999年3月に日本政府は約5億円を拠出し、国連に「人間の安全保障基金」を設置した。日本は同基金に対し、2002年度までに累計約229億円を拠出してきており、国連に設置された信託基金の中で最大のものとなっている。
 (2)本基金の目的は、現在の国際社会が直面する貧困、環境破壊、紛争、地雷、難民問題、麻薬、HIV/AIDSを含む感染症など、多様な脅威に取り組む国連関係国際機関の活動の中に人間の安全保障の考え方を反映させ、実際に人間の生存・生活・尊厳を確保していくことである。本基金に対し支援要請ができるのは、国連システム内の機関となっている。

2.優先的分野(ガイドラインの改定)
 (1)2003年11月、日本政府と国連事務局は、2003年5月に人間の安全保障委員会が最終報告書を国連事務局長に提出したことを受けて、人間の安全保障の考え方がより効果的に事業に反映されるよう、優先的に支援する分野や事業の形態について指針を定めた人間の安全保障基金ガイドラインを改定した。
 (2)新しいガイドラインでは、この基金が拠出するプロジェクトの基準として、生存、生活及び尊厳が脅かされている人々や地域社会に対して具体的かつ持続性のある利益をもたらすものであること、トップダウンの保護手段とボトムアップの能力強化手段の両者を含む「保護と能力強化」の枠組みを実践していること、国連システム内の機関が実施する事業あるいは適当と判断される場合には国連システム内の機関がNGOなどとの協力関係に基づき実践する事業に対して基金を拠出すること等が盛り込まれている。
 (3)これに従って、今後、同基金では、スリランカ、アフガニスタン等の復興支援を積極的に支援していく予定である。

3.案件例(2003年)





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