本編 > 第III部 > 第2章 > 第3節 > 11.その他 > (2) 援助関係者の安全確保
(2) 援助関係者の安全確保
日本がODA予算を用いて援助を行っている国・地域が160を超える中で、援助関係者が活動する途上国の治安状況は様々であり、また日々刻々と変化しています。米国同時多発テロ以降、中東地域・南西アジアにおける緊張の高まりや、世界各地で多発するテロに対して、さらには平和構築における援助に際してどのように援助関係者の安全を確保するのかが極めて重要な課題となっています。
援助関係者の安全対策は、ODA大綱上も実施体制の強化を図る上で重要な課題として位置づけられ、従来からできる限りの措置を講じてきています(在外公館に係る対策は第I部2章3節3-(4)参照)。
例えば、JICAにおいては、在外公館とも情報交換し、各国・地域の治安状況に応じた適時適切な安全対策措置を講じています。具体的には、以下のとおりです。
[1]JICA在外事務所等において現地の治安状況等を分析し、安全対策マニュアル等を作成し、平時及び緊急時の安全対策を定めています。
[2]派遣予定及び派遣中のJICA関係者に対し、現地の治安状況、安全対策等を周知するとともに定期的な危険情報の交換・共有に努めています。
[3]緊急時の通信手段としてJICA関係者にインマルサット(海事衛星を利用した通信機)や衛星携帯電話等を携行させるようにしています。また、緊急時に備え退避用チャーターフライト運行契約の締結等を行っています。
[4]当該国の警察幹部OB等を安全対策クラーク(担当官)として配置するなど、現地での実施体制の強化を行っています。
[5]上記のほか、住宅の防犯設備及び警報装置の設置等を行い、JICA関係者の安全確保のために必要な措置を講じています。
JBICにおいてもJICAに準じた形で対応しているほか、以下のような安全対策措置を講じています。
[1]円借款本邦受注企業に対しては、在外公館への在留届の提出の推奨、安全に係る情報ソースの案内、基本的な安全対策上の留意点の紹介、といった内容を含む文書をJBICより送付しており、安全対策の喚起に努めています。
[2]また、受注企業が当該国からの撤退が必要となった場合には、現地契約先との事業中断交渉を支援することにより、本邦受注企業の安全確保を図っています。