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5.アフリカ地域
(注)
日本のアフリカ地域に対する2002年の二国間ODAは、約5億8,000万ドルで、二国間ODA全体に占める割合は8.7%です。
日本は、アフリカ地域に対して、中期政策にもあるとおり、以下の点を重視して支援を行っています。
[1]貧困対策や社会開発への支援及び砂漠化対処等に対する支援
[2]人材育成及び政策立案・実施能力構築への支援
[3]アフリカの経済的自立へ向けた民間セクター・工業・農業等の開発への支援(南南協力によるアジアの開発の成果と経験のアフリカへの移転、農業をはじめとする産業の生産力向上に資する基礎的インフラ整備、域内地域協力の促進等)
[4]アフリカの安定の基盤となる民主化・紛争予防や紛争後の復興に対する支援
[5]債務負担の軽減に資する支援(支援の決定に当たっては、債務国の構造改革に取り組む姿勢を勘案する)
アフリカは、深刻な貧困、紛争、飢餓、HIV/AIDS等の感染症、累積債務などの課題が集中している地域です。近年、アフリカ開発問題の重要性が改めて認識され、国際社会の関心が集まっています。2000年の国連ミレニアム・サミット以降の各種国際会議における開発に関する議論は、その多くがアフリカの開発問題やアフリカが抱える諸問題をテーマとして取り上げたものとなっています。日本は、このような潮流に先駆け1993年より10年にわたりアフリカ開発会議(TICAD)プロセスを通じて、アフリカ開発問題への取組をリードしてきています。TICADは1993年に第1回会合(TICADI)、1998年に第2回会合(TICADII)を開催し、それぞれ「東京宣言」、「東京行動計画」を採択しており、アフリカ開発に対する国際社会の関心を再喚起したのみならず、アフリカのオーナーシップと国際社会のパートナーシップを一貫してTICADの基本哲学として提唱し続けたことにより、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)やアフリカ連合(AU)の成立といったアフリカ自身による取組の萌芽に貢献してきました。
日本は、それらTICADの成果を踏まえ、アフリカ諸国に対し様々な協力を行ってきています。例えば、TICADIIにおいて、日本は教育、保健医療、水供給の分野で向こう5年間を目途に総額約900億円の無償資金協力を行う旨表明し、2003年3月までに合計約836億円余りの支援を実施しました(その後、2003年9月末~10月初めのTICADIIIまでに900億円を達成)。その他、HIV/AIDSやマラリアなどの感染症分野、経済成長に必要な農業分野や社会・経済インフラ整備、紛争地域における平和の定着や人間の安全保障に向けた支援などに取り組んでいます。さらにTICADプロセスにおいては、アジア・アフリカ協力やアフリカ域内における南南協力を推進しており、特にアジア・アフリカ協力については、両地域の貿易・投資の促進やネリカ米の開発など具体的かつ特色のあるプロジェクトが生まれています。
日本は、2003年9月末~10月初めの第3回アフリカ開発会議(TICADIII)を見据え、TICADIIIまでの期間を「対アフリカ協力飛躍の年」として、アフリカ問題に積極的な取組を展開しました。具体的には、2002年6月、日本は開発支援と紛争予防・平和の定着を車の両輪とする「日本のアフリカとの連帯-具体的行動-」(注1)を発表しました。これを踏まえ、様々な機会を通じ各国に日本の考え方を伝えるとともに、今後の協力の方策について各国の首脳・外相レベルを含む政府要人との意見交換を行いました。2003年3月には、半年後に迫ったTICADIIIの準備プロセスの一環としてTICADIII高級事務レベル準備会合(注2)を開催しました。
アフリカ諸国は、重債務貧困国(HIPCs)が多いことから、円借款をはじめとする政府貸付等の割合は約1.6%と低く、無償資金協力と技術協力が殆どを占めています。無償資金協力については、教育、保健医療、水供給の3分野が全体の約5割を占めており、貧困対策のための社会開発支援を中心に行っています。技術協力に関しては、教育、保健医療、農業に関する協力を中心に実施しています。また、ガーナ、ケニア、ザンビア、セネガルにおいては域内の拠点(注3)を中心に主に周辺国を対象にした第三国研修を実施しているほか、アジア諸国における第三国研修や第三国専門家派遣等の南南協力を推進しています。
平和の定着に向けた支援では、例えば、紛争後のシエラレオネにおける元兵士の社会復帰促進を目的として、DDRの分野で英国と連携・協調した支援を実施しており、元兵士に対し耕作、植林、学校再建等の事業を通じて雇用機会を提供する日英協力プログラムに対し、紛争予防・平和構築無償による3億円の協力を行いました。
また、アフリカ地域には、世界で重債務貧困国(HIPC)として認定されている42か国のうち34か国が集中しており、日本はこれらの国々に対して拡大HIPCイニシアティブの枠組みにおいても大規模な貢献を行っています。さらに、同イニシアティブ適用の条件となっている貧困削減戦略文書(PRSP)については、タンザニアやエチオピアなどにおいてその実施に向けた支援を積極的に行い、貧困削減と開発のための支援を実施しています。
図表III-21 アフリカ地域における援助実績
