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7.IT
2000年7月の九州・沖縄サミットにおいて発表された「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章(IT憲章)」では、ITは、21世紀を形作る最強の力の1つと表現されています。ITはすぐれて使用者主導的な技術であることから、人々がITのもたらす機会を認識し、積極的に活用することを通じ、国際社会は一層の発展を遂げることが可能となります。このため、すべての人がいかなるところでもグローバルな情報社会の恩恵を受けるべきであり、情報格差(デジタル・ディバイド)の解消は極めて重要な課題です。
日本は、2000年7月の九州・沖縄サミットにおいて「国際的な情報格差問題に対する我が国の包括的協力策について」を発表しました。この協力策では、5年間で合わせて150億ドル程度を目途に非ODA及びODAの公的資金による協力を進めることとしています。
一方で、上記の「IT憲章」に示されているように、ITは基本的に民間主導で発展する分野です。また、上記の協力策の大部分は民間ベースのプロジェクトを支援するJBICによる投資金融や輸出金融・アンタイドローン等の非ODAによる協力が中心になると想定されています。日本はこれらの点を踏まえ、ODAによる協力は途上国におけるインフラ構築や人材育成など商業ベースになじまない分野に関する協力に充てることとしています。
こうした考えの下、日本は、上記協力策の中で示されている、[1]政策・制度づくりへの知的貢献、[2]人づくり、[3]情報通信基盤の整備・ネットワーク化支援、[4]援助におけるIT利用の促進、の4つを柱として協力を進めています。
また、ITの利用推進やIT案件の積極的な形成を進めるため、途上国との政策対話を強化したり、国別援助計画等においてITの重要性を明示し、IT案件の形成を行いやすい環境を醸成しています。
コラムIII-6 JICA-Netを利用した日本・マレーシア高校生の交流プログラム
2003年3月には総務省が主導となり、各府省連携の下でアジアブロードバンド計画が策定されました。この計画では開発途上国への支援のため、情報通信技術を活用した案件の推進及び日本からの積極的な各国との政策対話等を通じた案件形成を進めていく方針が打ち出されており、2003年度より具体的な取組が進められています。
図表III-16 国際的な情報格差に対する日本の包括的協力策の実施状況(2002年度)
