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ColumnIII-6 JICA-Netを利用した日本・マレーシア高校生の交流プログラム

 2003年8月に閣議決定されたODA大綱では、国民参加の拡大に伴う開発教育の重要性や今後の対応が明らかにされました。一方、中学校や高等学校などの教育現場では「総合的な学習の時間」が導入されたことにより国際的なテーマを扱う機会が多くなり、開発教育に対するニーズも増えてきています。このような状況を背景に、JICAでは開発教育を支援する活動を実施しています。その1つの例として、日本とマレーシアの高校生を対象に実施した交流プログラムをご紹介します。
 一般的な交流プログラムでは、教員や生徒がお互いの国を訪問しなければなりませんが、2003年9月7日に日本とマレーシアの高校生の間で実施された交流プログラムではJICAのテレビ会議装置「JICA-Net」(テレビ会議、マルチメディア教材、インターネットなど、様々な情報通信技術(ICT)を活用した国際協力の新しい形態)を利用して、教員や生徒は自分の国にいながらにして、相手国の生徒達とリアルタイムで情報の交換をすることができました。
 この交流プログラムには、埼玉県立蕨高校とマレーシアのSMK Bukit Bintang Boys School(日本の中学・高校に相当)の教員・生徒・保護者が参加し、およそ1時間半にわたって双方の生徒や保護者から英語による発表や意見交換が活発に行われました。その結果、お互いの社会や文化の違いが認識されただけでなく、開発問題に関する意識も高まりました。参加者は、開発教育に資するこの交流プログラムに対して高い評価をしています。また、「これを機会として学校間の交流を続けていきたい」との声も多く聞かれ、両校をむすぶ「架け橋」としての役割も果たすことができました。
 このようにJICA-Netは、従来の対面方式の技術協力を遠隔方式で補完するとともに、ICTにより技術協力の幅を広げるものとして、JICAでは2002年度から遠隔講義・セミナーやTV会議のほか、国民参加・開発教育支援事業などで本格的に活用しています。現在、日本では東京と沖縄の2か所、海外ではアジアの7か国にJICA-Netの拠点が置かれています。国際通信回線を利用することで、専用拠点のない国・地域とも接続が可能となり、これまでに40か国以上との接続実績があります。

マレーシア側の様子
マレーシア側の様子

日本側の様子
日本側の様子


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