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(4)エネルギー
途上国においては、その経済発展を実現するためにも安定したエネルギー供給を確保することが課題となっています。そして、世界のエネルギー需要は主としてアジアをはじめとする途上国の経済発展に伴い今後も増大することが予想されており、エネルギー問題は、地球環境問題への対応、持続可能な開発の達成とも関連する地球規模の課題です。
日本は、このようなエネルギーの重要性に鑑み、持続可能な開発の観点から、省エネルギー及び環境保全に留意しつつ、途上国におけるエネルギーの安定的供給のための協力を実施しています。また、エネルギー資源や鉱物資源の対外依存度が極めて高い日本にとって、本分野の協力は資源の安定的供給確保の点からも重要です。日本は、特に民間部門やOOFでの対応が難しい案件、省エネルギーの推進及び再生可能エネルギーの利用促進等に資する支援を実施しています。
近年、この分野での協力は民生向上や貧困対策のための地方電化や送電施設の整備といった案件が増えており、比較的規模が大きく経済効果も高いことから、円借款による支援が中心となっています。2002年度においては、エネルギー分野における円借款の実績は、7か国に対して計11件、約2,215億円(円借款に占める割合は34.7%)で、無償資金協力は、約24億円(一般プロジェクト無償に占める割合は2.4%)です。
円借款による協力のうち、ウズベキスタンの「タシケント火力発電所近代化計画」や、インドネシアの「ムアラタワル火力発電所ガス化計画」、「同発電所拡張計画」などにおいては、電力の安定供給のみならず、国内天然ガスの効率的な利用により環境負荷の軽減を図ることも目的としています。
無償資金協力においても、ネパール、ラオスにおいて、新たな変電所の建設や送電線敷設のための設計、発電所を補修するための資金協力などを実施し、電力の安定的供給を図っており、社会経済活動の活性化に繋がることが期待されています。
技術協力では、エネルギー管理、省エネルギー、再生可能エネルギー及び工業化の進展によるエネルギー環境対策等における技術移転や人材育成を行っています。例えば、工場における現場指導を含む工場診断事業、省エネの研修などを行う省エネ訓練センター事業などを実施しています。今後のエネルギー分野の協力は、途上国の電力の安定供給とともに、クリーン開発メカニズム(CDM)(注)の推進に寄与するような支援や、省エネルギー及び再生可能エネルギーを活用した支援の実施も念頭に協力を進めていく考えです。