本編 > 第II部 > 第2章 > 第1節 > 1.開発問題を巡る主要な論点
これまで述べてきた通り、2003年に行われた開発に関する国際会議では、MDGs、モンテレイ合意等の実施に向けた具体的な取組のあり方について議論が行われました。
第2章では、OECD-DACや世界銀行とIMFの年次総会などにおける議論も含め、開発問題を巡る主要な論点について説明します。まず、第1節では、2003年の開発関連の国際会議における主要な論点を簡単に振り返った後、開発問題全般に関する日本の基本的な考え方を説明します。続いて第2節では、これらの主要な論点のうち、特に重要なものについて個別に取り上げ、国際社会における議論を紹介するとともに、日本の考え方について説明します。
第1節では、2003年の開発関連の国際会議における主要な論点を簡単に振り返った後、開発問題全般に関する日本の基本的な考え方を説明します。
続いて第2節では、これらの主要な論点のうち、特に重要なものについて個別に取り上げ、国際社会における議論を紹介するとともに、日本の考え方について説明します。
第1節 開発問題を巡る主要な論点と日本の基本的な考え方
1.開発問題を巡る主要な論点
2003年を通じて、国際場裡での開発関連の議論では、MDGs、WTOドーハ閣僚宣言、モンテレイ合意、ヨハネスブルク実施計画等に対するコミットメントを再確認し、それらの達成に向け、開発課題に対する国際社会としての具体的な取組のあり方、特に、国際社会としてMDGs等の進捗を加速するのに必要な行動を具体化することの必要性、そのための途上国、先進国、国際機関の間での協調した行動の必要性等が強調されました。
これら一連の議論における主要な論点としては、以下が挙げられます。(注)
1.国際目標であるMDGsと各途上国が策定する貧困削減戦略の連携の向上
2.ODA、海外・国内投資、貿易等を含む包括的な開発資金の確保
3.重債務貧困国(HIPCs:Heavily Indebted Poor Countries)への債務救済と債務の持続可能なレベルまでの低減に向けた方策の在り方
4.経済成長の果実を、貧困層が更に裨益するための方策の検討(Pro-Poor Growth)
5.持続可能な経済成長におけるインフラ整備の重要性の再認識
6.貧困削減戦略文書を始めとする、途上国自身の開発計画を中心に据えた援助国側の援助戦略・実施手続の調和化
7.途上国の公共財政管理能力の強化、開発資金の予測性向上及び援助吸収能力の強化
8.投資環境の改善、汚職撲滅を含む被援助国側のガバナンスの強化
9.貿易、投資、農業、保健、教育、環境を始めとする先進国側の国内政策と途上国側の開発との相互関係に留意した政策一貫性の向上
10.イラクを始めとする紛争後の国家に対する人道・復興支援の在り方