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本編 > 第II部 > 第1章 > 2.開発資金に関する国連総会ハイレベル対話(10月)


2.開発資金に関する国連総会ハイレベル対話(10月)

 2003年10月、モンテレイ合意に盛りこまれたコミットメントの実施状況について、その進捗状況を閣僚レベルでレビューすることを主たる目的とした、開発資金に関する国連ハイレベル対話が開催されました。同会合には、30数か国から外務、財務、貿易、開発等の閣僚級が出席し、日本からは外務審議官が出席しました。
 そもそも、このハイレベル対話の起源は、1998年の第53回国連総会の際に、「グローバル化及び相互依存の経済・社会的インパクトとその政策面への影響」をテーマにハイレベル対話が開催されたことに遡ります。このハイレベル対話の開催を受け、同年の国連総会において、同様のハイレベル対話を2年毎に開催することが決定されました。調整の結果、第2回ハイレベル対話は第56回総会の際(2001年)に開催されましたが、その後、2002年3月、メキシコのモンテレイで開催された開発資金国際会議の成果文書であるモンテレイ合意において、同会議のフォローアップのために本件ハイレベル対話を強化し、これを更に活用していくことが合意されました。今回の会合は、「開発資金に関するハイレベル対話」として改めてその意義が強化された後、初めて開催されたものです。
 この会合では、国連総会議長の権限において、「議長総括文書」(11月6日付国連文書A/58/555)が発出されており、その概要は以下の通りです。
[1]今回の対話においては、開発問題についての途上国のオーナーシップが確認される一方で、援助国に対し依然として開発資金の不足を指摘する声も多く見られた。また、モンテレイ合意の「ODA国民総所得0.7%目標」についても、その達成を求める意見が多く見られた。モンテレイの一連の合意、さらにはMDGsについては、国連総会・経済社会理事会を通じて、モニタリングを行っていくべきであるとされた。
[2]貿易面では、先進国の貿易政策について多くの不満が表明された。WTOカンクン閣僚会議がまとまらなかったことについては、一致した懸念が表明され、交渉を早期に再開すべきであるとの意見が多く見られた。WTOと国連の間に、制度面を含め、より緊密な関係が構築されるべきであるとする意見が多く見られた。
[3]2005年が、モンテレイ合意実施のフォローアップ及びMDGs中間レビューの両面で重要な年になると指摘された。
 その他、同文書は、「国内資源の稼働」「民間資金フロー」「貿易」「ODAとその他の資源」「債務」「システムと機構の問題」「現行のコミットメント」というテーマで、今次対話における議論のまとめと分析を行っています。
 日本は、この対話において、援助国と被援助国、国連を中心とする援助実施機関相互の政策一貫性の確保と調整の重要性を指摘し、途上国における援助、インフラ整備、民間資本、貿易等の連携の好循環を通じた成長の重要性について述べ、東アジア開発イニシアティブ(IDEA:Initiative for Development in East Asia)にも言及しながら、東アジアの開発経験を披露しました。




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