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(3)不正、腐敗の防止

 援助は、本来被援助国の経済社会開発や福祉の向上を目的とするものであり、援助によって供与された資金がそのために使用されず、不正に使用されたり、被援助国における腐敗につながったりすることは避けなければなりません。この点を確実にするため、新しいODA大綱においては、まず「案件の選定及び実施プロセスの透明性を確保」し、そして「不正、腐敗及び目的外使用を防止するための適切な措置をとる」と明記されています。また、そのような取組のために「外部監査の導入など監査の充実」を通じて、適正なODA資金の流れの確保にも努めるとしています。
 案件の選定段階においては、円借款の候補案件リスト(ロングリスト)の策定、公表、無償資金協力実施適正会議の開催等が挙げられます。円借款の候補案件リストは、これまで5か国(ベトナム、チュニジア、モロッコ、中国、インド)について策定、公表されていましたが、2003年10月、新たにインドネシアについても策定、公表されました。同リストは複数年にわたる候補案件のリストであり、リストへの掲載をもって円借款の供与を意味するものではありませんが、作成後は原則としてリストに掲載された案件から年度毎に正式要請を受け、案件を選定の上供与されることになります。リストの作成・公表により、中長期的観点からの円借款のより効果的・効率的な発掘・形成が可能となり、他の援助国・国際機関との連携が促進されることが期待されます。
 ODA案件の調達段階においては、これまでも、無償資金協力、有償資金協力、技術協力ともJICAJBICの調達ガイドラインに従って原則途上国側が入札を行い、その結果をJICA、JBICが確認し、受注企業名のみならず、契約金額も公表される等、透明性を確保する措置がとられてきました。また、入札において不正が行われた場合は、不正を行った業者は一定期間ODA事業の入札・契約から排除される仕組みが整えられています。
 また、新しいODA大綱の「監査の充実」という観点からは、これまでの外務省改革も踏まえ、外部監査の導入などの「監査の拡充」、「抜き打ち監査」、「改善措置を講じるためのシステム整備」に取り組んでいます。


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