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(4)情報公開と広報
日本の外交において大きな役割を担うODAを活用して途上国への開発援助を進めていくためには、広く国民の理解と支持を促進することが不可欠です。新しいODA大綱においても「ODAの政策、実施、評価に関する情報を、幅広く迅速に公開し、十分な透明性を確保するとともに積極的に広報することが重要」と謳っています。そのためにも、「様々な手段を活用して、分かり易い形で情報提供を行う」とともに、ODAの意義や役割を理解してもらうために「国民が我が国のODA案件に接する機会を作る」としています。
■国内における積極的な広報と情報提供
情報提供及び日本のODA案件に接する機会を提供するための具体的な施策としては、以下のような取組があります。
[1]ODAメールマガジンの発行
ODAホームページに加え、外務省は、2002年7月より「ODAメールマガジン」の発行を始めました。2003年12月末現在で第33号まで発行され、この中では、経済協力に関わるタイムリーな話題や情報をご案内しているほか、在外にある日本大使館の館員や、青年海外協力隊員、シニア海外ボランティアなどが、実際の援助の現場で体験した話や援助にまつわるエピソードなどを紹介しています。なお、ODAメールマガジンはODAホームページを通じて随時登録を受け付けており、2003年12月末現在7,200名以上の方が登録されています。
図表I-19 ODAタウンミーティングの開催状況(2003年)

[2]ODAタウンミーティングの開催
ODAタウンミーティングは、ODAに関する市民対話の一環として、ODA改革を巡る動きなどを一般市民に紹介するとともに、ODA及びODA改革に対する国民の生の声を直接聴取することを目的に、日本全国各地で定期的に開催されています。2001年度に5回、2002年度に7回、2003年度は12月までの間に、大阪、東京、福岡(以上は、「ODA大綱に関する公聴会」として開催)、水戸、東京、大阪、山形において計7回開催され、有識者、ODA戦略会議メンバー、外務省経済協力局幹部と一般市民との間で率直な意見交換が行われました。
[3]ODA民間モニターの派遣
ODA民間モニター事業は、ODAに関心を有する一般国民を公募選考し、実際の援助の現場に派遣して、日本のODA案件を直接視察する機会を提供することにより、ODAの意義・重要性について正しく理解してもらうとともに、意見や感想として提言してもらおうというものです。この事業は、1999年度から開始され、2003年度までに406名がアジア、アフリカ、中南米の開発途上国のODAプロジェクト等を視察しました。参加者からは、ODAが開発途上国の発展・安定に役立っていることや援助の必要性、現場の厳しい環境などについて理解を深めた等といった報告がなされています(注1)。これからも、こうした事業を通じて、ODAに対する国民の理解を深めるための努力を行っていく考えです。

ODA民間モニター(ザンビア)
■国際社会に対する情報発信の強化
以上に述べた日本国内における広報に限らず、ODAを通じた日本の積極的な国際貢献については海外においても正しく理解され、支持されることが重要です。ODA改革を巡る動きの中でも、被援助国における日本のODA広報に対する関心も高まっており、相手国国民に対し、日本のODAの実績等を分かり易く示すような広報努力が求められています。日本は、従来より海外における日本の援助が正しく評価され、個々の案件が日本の援助によるものであることを周知すべく、署名式や引渡式において現地プレスの取材に協力したり、日本の援助物資に日章旗ステッカー(英語、アラビア語)やODAシンボルマーク・ステッカー(英語、フランス語、スペイン語、アラビア語)を貼付したり、看板などを設置しています。
新しいODA大綱では、このようなことに止まらず開発途上国、他の援助国など「広く国際社会に対して日本のODAに関する情報発信を強化する」とし、対外的な情報発信の強化を打ち出しました。具体的には、当該国に対する日本のODA政策やその成果について広く相手国国民に訴えるべく、被援助国向けにODA広報テレビ番組を制作して衛星放送を通じ放映したり(注2)、現地プレスに対して日本の援助現場視察をアレンジしたり、また、在外にある日本大使館が中心となって現地のJICA・JBIC等とも協力しつつ、日本のODAに関するパンフレットを作成しており、2003年には、バングラデシュ、ベトナム等で作成・配布しています。他の援助国を含む国際社会に対しては、日常の外交努力や第II部で説明するような一連の国際会議における情報発信のほか、各種のシンポジウムやセミナーの開催を通じた情報発信に積極的に取り組んでいます。2003年には、IDEA福岡シンポジウムや、OECD-DACにおいて、アジア経済、ODA大綱、アフリカに関する各種セミナーを実施するなどしています。