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(4)ミャンマー
日本の対ミャンマー経済協力は、1988年の軍事政権成立以降、原則として停止していましたが、1995年、国民民主連盟(NLD:National League for Democracy)のアウン・サン・スー・チー女史の自宅軟禁解除など事態の改善に鑑み、ミャンマーの民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、当面は継続案件や民衆に直接裨益する基礎生活分野を中心にケース・バイ・ケースで検討の上、実施することとしました。
2001年1月以降、ミャンマー政府においては、NLD党員等の政治犯の釈放やスー・チー女史の行動制限を解除するなど民主化及び人権状況に改善の動きが見られました。しかしながら、2003年5月にスー・チー女史及びNLD関係者が当局に拘束され、NLD党本部等も閉鎖される事態が発生しました(その後、同年9月にスー・チー女史は自宅へ移送)。
日本は、上記事件の直後から、事態を懸念し、スー・チー女史他の即時解放等をミャンマー政府に働きかけてきました。現在は、同女史を含むNLDの自由な政治活動の速やかな回復を求めるとともに、ミャンマー政府が8月に民主化に向けた「ロードマップ」を示したことを受け、国民和解及び民主化プロセスが具体的に進展するよう粘り強く働きかけています。
このような中で経済協力については、同事件以降のミャンマーの状況に鑑み、基本的に新規案件を見合わせていますが、緊急性が高く人道的な案件等については、個別に慎重に吟味した上で順次実施しています。