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(3)スーダン
スーダンでは、1980年代後半から1990年初頭にかけて国内に著しい人権侵害状況が見られ、日本を含む国際社会は再三の改善要求を行ったものの、スーダン側の対応に変化が見られなかったため、1992年10月、日本は緊急・人道的性格のものを除き原則として援助を停止しました。それ以降、日本はWFPやUNICEF等の国際機関を通じた緊急・人道的援助を行ってきましたが、長年の内戦による国内避難民の発生、周辺国からの難民の流入等が生じているスーダンの現状を考慮し、1999年より同国に対し草の根・人間の安全保障無償を導入し、保健医療、難民支援等の活動を行うNGOを通じた支援を行っています。また、人権状況の改善の働きかけの一環として、過去3度にわたり同国との間に人権対話を実施するとともに同対話の枠組みの中で合意された女子性器切除(FGM:Female Genital Mutilation)の撲滅に向けた取組として、2003年8月にはスーダン政府と日本政府が共同でUNICEFの協力を得てシンポジウムをハルツームにて開催しました。
スーダンは、1996年からテロ支援疑惑により外交活動を制限する国連制裁が課せられていましたが、2001年9月の安保理特別会合において解除が決定されました。これを踏まえ、日本は、スーダン公用旅券保持者に対する査証発給停止等を解除しましたが、経済協力についてはこれまでの方針を維持しています。
また、2002年7月より、スーダン政府と反政府勢力との間で和平交渉が進展しつつあります。日本は、和平推進のため、国連工業開発機関(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization)が実施する「紛争後の農業生産能力の再活性化計画(人間の安全保障基金)」を支援しています。スーダン自身の和平を推進することは、日本の外交方針の柱の1つである「平和の定着」に合致するものであり、日本は、国際社会と連携した形で同国に対し和平達成に向けて積極的に働きかけています。
日本としては、今後とも、同国の和平交渉に加え、人権状況の改善を引き続き働きかけていくとともに、今後の経済協力については、これらの進捗状況、二国間関係などの諸点を総合的に判断しつつ検討していく方針です。