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(3)アフリカ(TICADIIIの開催を含む)
アフリカは、世界で最も貧困人口の割合が高く、紛争、飢餓、HIV/AIDSをはじめとする感染症、累積債務など困難な問題が集中している地域です。アフリカは、世界でも最も深刻な開発課題を抱え、他地域との格差が拡大しており、グローバル化の進展から取り残されるのではないかという不安が大きくなっています。
日本は、このようなアフリカ問題の深刻さをいち早く認識し、1990年代初頭から国際社会で積極的に対アフリカ開発協力のイニシアティブをとってきました。東西冷戦終焉に伴い国際社会のアフリカへの関心が低下する中で、日本は国際社会の関心を再喚起すべく1993年と1998年にそれぞれ第1回アフリカ開発会議(TICAD)、第2回アフリカ開発会議(TICADII)を開催し、アフリカ諸国の自助努力(オーナーシップ)とそれを支援する国際社会のパートナーシップの重要性を提唱してきました。

写真撮影に臨む小泉総理と森元総理(TICADIII) (写真提供:内閣広報室)
図表I-16 日本の対アフリカ協力

日本のこうした努力を一助として、近年、国際社会においてもアフリカ問題への関心が急激に高まっており、国連ではMDGsの策定以降、アフリカ開発への取組が強化されています。またG8サミットにおいても、日本が議長国であった2000年のG8九州・沖縄サミットに南ア、ナイジェリア、アルジェリアの大統領が招待されG8首脳との対話が実現したのをきっかけに、アフリカ問題が主要議題の1つとなり、2002年のG8カナナスキス・サミットでは「G8アフリカ行動計画」が採択されるなど具体的な協力が拡大しています。さらにアフリカ自身もオーナーシップの重要性を認識し、NEPADの策定やアフリカ連合(AU:African Union)の成立など具体的な取組を始めています。現在アフリカ問題は、正に国際社会全体が一体となって取り組むべき課題となっています。
そのような中、日本は2003年9月29日から10月1日にTICADプロセスの10周年を記念する第3回アフリカ開発会議(TICADIII)を東京で開催しました。TICADIIIは、89か国、47機関から、アフリカ23か国の首脳、20を越える国際機関等の長、90名に上る閣僚を含む1,000名以上の参加者を得て、アフリカ開発に関する世界最大級の政策フォーラムとなりました。会議においては、アフリカ開発の将来の方向性と重点アプローチを示す「TICAD10周年宣言」が採択され、会議中の議論を通じて特定された優先事項をまとめた「TICADIII議長サマリー」が発出されました。また、小泉総理は、開会式の基調演説において「人間中心の開発」、「経済成長を通じた貧困削減」、「平和の定着」を3本柱とする日本の対アフリカ支援策を発表し、HIV/AIDS対策を含む保健医療、教育、水や食糧支援等の分野で、今後5年間に10億ドルの無償資金協力を実施することを目標とする旨表明しました。同時に日本の対アフリカ支援において「人間の安全保障」や「南南協力」の視点を重視していくことも明らかにしました。なお、アフリカ側よりは10年にわたるTICADプロセスの貢献を高く評価し、TICADプロセスの継続を求める強い声が出され、今後TICADをより制度化して継続していくというコンセンサスが形成されました。