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第4節 改定されたODA大綱のポイント
1.改定されたODA大綱の主要点

 このようにして改定されたODA大綱の主要点は以下のとおりです。なお、その詳細な内容は、具体的な事例とともに第2章において解説します。
 旧ODA大綱は、ODAを行う目的について、人道的見地、国際社会の相互依存関係、環境の保全及び平和国家としての使命を挙げていましたが、新しいODA大綱では、これらも踏まえつつ、ODAの目的を「国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資すること」としました。また、ODAを通じた取組は、平和を希求する国家である日本にとって国際社会の共感を得られる最も相応しい政策であると位置づけました。
 また、新しいODA大綱においては、新たに日本のODAのあり方を示す「基本方針」という項目を設け、その中で日本のODAが「良い統治」に基づく途上国の自助努力支援であるとの考え方を継承しつつ、男女共同参画の視点を含む援助の公平性の確保、日本の経験と知見の活用、国際社会における協調と連携などを基本方針として明示しました。また、個々の人間に着目した「人間の安全保障」の視点を新たに記述しました。
 ODAが取り組むべき課題については、現在の国際的開発課題を考慮しつつ、「貧困削減」、「持続的成長」、「地球的規模の問題への取組」、「平和の構築」を重点としました。特に「平和の構築」は、日本が近年力を入れている分野として新たに掲げたものです。
 重点地域は、日本と密接な関係を有し、日本の安全と繁栄に大きな影響を及ぼし得る地域であることから、引き続きアジア地域としました。ただし、アジア諸国の経済社会状況の多様性、援助需要の変化に十分留意しつつ、戦略的に分野や対象などの重点化を図ることとしました。「援助政策の立案及び実施」においては、これまでのODA改革の議論や諸提言を踏まえ、政府等がどのように政策を立案し、実施するかを明確にしました。その中では、政府全体として一体性と一貫性のある援助政策の立案、被援助国との政策協議の強化、現地機能の強化、NGO等幅広い援助関係者との連携や国民参加の拡大等が挙げられています。
 また、大綱の運用について一層の説明責任を果たすべく、ODA大綱の実施状況については毎年ODA白書にて明らかにする旨明記してあります。

(写真提供:共同通信社)
ODA大綱改定をめぐる外務省とNGOの意見交換会 (写真提供:共同通信社)

ODA大綱公聴会
ODA大綱公聴会


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