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ColumnIII-8 日本・パラオ友好の橋(KB橋)

 今、パラオに住む人でこの橋を知らない人はいないでしょう。全長412m、主塔の高さ41m、幅10mの橋は、その優美さと走り心地の良さで毎日多くの人に利用されています。国際空港から市内に入る場合にも、必ずこの橋を通ります。また、休日には橋の下の広場で地元の子供達が楽しく遊び回ったり、高校生が掃除をしていたり、毎年10月1日になると、政府の独立記念式典が橋の下の広場で催されて、長く延びた橋の各柱には、パラオの青海満月旗が翻ります。この橋は「KB橋」と呼ばれ、日本の援助によることから、「日本・パラオ友好の橋」とも名付けられ、この国で広く愛着を持たれています。また、この橋の完成の機会に特別に記念切手が発行されました。
 この橋は、1996年9月26日、突如、大音響と共に崩落した旧KB橋を建て替えたものです。この惨事で水道、電気、電話が一気に不通になり、住民の生活上の手段がことごとく奪われました。直ちに国を挙げての不眠不休の復旧活動が開始され、何とか4か月半後には仮設の橋が作られたものの、この無惨な橋の姿に当時のナカムラ大統領は日本の力を借りようと、翌年早々訪日し、資金と技術協力の緊急援助を要請しました。日本はこの要請に応じて、総額32億円を超える無償資金を供与しました。こうして再建された橋は2002年1月、竣工式を迎えて、その優美な姿を珊瑚礁の前に現したのです。
 橋の渡り初めの日には一目見ようとパラオ各地から多数の人が詰めかけ、その数は国民の約1割に及んだといいます。2003年10月、橋の下で開催された独立記念日式典で、レメンゲサウ現大統領は、内外の多数の参加者を前に「日本に対しては数年にわたる非常に寛容な資金援助に深甚なる謝意を表したい。日本の援助は、パラオの経済発展に必要な大半の基幹整備に貢献してくれた」と感謝の言葉を述べています。橋は今日も市民の生活上の手段として、また、市民の憩いの場として利用されています。
 なお、日本の土木学会では、この橋を優秀な構造物と評価し、作品賞を授与しました。

再生したKB橋
再生したKB橋

KB橋の記念切手
KB橋の記念切手


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