ColumnII-5 タンザニア 農業セクター開発プログラムの策定に対する支援
貧困削減戦略文書(PRSP)は、包括的な途上国の開発戦略を記した文書で、途上国が取り組まねばならない課題が書かれています。しかし、PRSPには、課題や中期的な方向性は書かれていますが、教育、保健といったセクター毎の課題に実際に取り組むには、各セクターの状況を分析した上で、より詳細な行動計画とも言うべき、セクタープログラムを策定する必要があります。
タンザニアの農業セクターにおいても、「農業の生産性と収益性の両者の向上を通じて農業所得の改善を図ることにより、農村貧困の削減と世帯レベルの食糧安全保障を実現する」との目標(注)の実現に向けて、農業セクター開発プログラム(ASDP)の策定が進んでいます。現在のASDPは、以下の図のように3つのサブ・プログラムから構成されています。

ASDPは、農業セクターに配分されるタンザニア政府予算と援助資金の活用の基礎となるもので、タンザニア政府のオーナーシップの下で、日本をはじめ、英、EU、デンマーク、アイルランド、FAO、世界銀行等の援助国・国際機関が協力して策定を進めています。日本は、これまで対タンザニア援助において農業を重点分野として位置づけ、食糧安全保障や農家所得の向上を目的とした協力を行ってきましたが、農業が今後ともタンザニアの貧困削減のために重要であるという認識に基づき、過去3年にわたり、このASDP策定の事務局を引き受け、援助国・国際機関会合の議長、援助国・国際機関間の調整、援助国・国際機関と政府の間の調整などを行ってきています。また、こうした日本の取組は、2003年12月のDAC対日援助審査会合においても高い評価を受けています。
ASDPの戦略策定は概ね終了し、今後はASDPの実施に移っていきます。日本としては、ASDP の実施段階においても策定段階と同様に、タンザニア政府に協力し、他の援助国をリードしていくために、日本の援助がASDPの内容に沿ったものとなるよう、他の援助国やタンザニアとの情報共有と協議を密接に行っていきたいと考えています。
注:United Republic of Tanzania, Agricultural Sector Development Programme Framework and Process Document (Final Draft), March 2003