ColumnII-4 エチオピアにおけるポリオ根絶への支援
エチオピアにおいて、日本は無償資金協力と技術協力の連携を通じて、ポリオ根絶に向けた支援を実施し、大きな成果を上げています。
まず、1999年から、子どもの福祉無償(無償資金協力プロジェクト)が実施されてきました。これは、主として年2回行われる全国一斉ワクチン投与デーで使用するポリオや麻疹ワクチン、コールドチェーン用機材等を、日本がUNICEF経由でエチオピア国保健省に供与するものです。日本の供与実績は、2003年までの5年間で累計19億800万円に上り、延べ約4千万人分のポリオワクチン及び麻疹ワクチンを供与することができました。
また、ポリオ根絶のためには、ワクチンの供与に加えて患者発生の観測活動を強化することも重要です。そこで、日本は2001年からポリオ対策プロジェクトを併せて実施しています。このプロジェクトは、首都アディスアベバにある国家保健・栄養研究所内ポリオ検査室の機能強化を目的とした技術協力プロジェクトです。日本人の専門家がポリオ検査室スタッフにポリオウィルス診断のための技術を移転することにより、検査室スタッフの診断技術の水準がめざましく向上しており、世界保健機関(WHO)も日本の協力に対し高い評価を示しています。
ポリオ対策プロジェクトでは、検査室の強化の他に、ソマリ州ジジガに代表される辺境地で、検査室スタッフ及び日本人専門家による現地ポリオ患者観測員に対する研修を行っています。このような地方展開の結果、収集される検体の質も大きく向上し、エチオピア全土での野生株ウィルスの発見に大きく貢献してきました。
このように日本政府は、無償資金協力と技術協力のスキーム間連携を実施しており、これに加えて、UNICEFのみならず、ポリオ根絶に向けて目標を同じくするWHO、USAID、ロータリーインターナショナルなどの援助国・機関、NGOとも協調して、エチオピアにおけるポリオ根絶運動をしっかりと支えています。
2001年1月以来、エチオピア内では野生株ウィルスが確認されておらず、3年間患者が発生しなければWHOから根絶宣言が出されることになっています。近い将来、エチオピアについてポリオ根絶が認定されることを期待しています。

日本人専門家による現地医療スタッフへの技術移転