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ColumnII-1 POVNETにおける最近の取組

 貧困削減ネットワーク(POVNET:Network on Poverty Reduction)は、1998年6月に発足したDACの下部機構です。2002年のDACの下部機構改革により、POVNETは経済成長と貧困削減に関する議論を行う場として再出発することとなりました。
 新しいPOVNETの議長を募集することは知っていましたが、まさか自分がその候補になるとは思いもよりませんでした。日本政府は以前から国際的な場で「貧困削減には経済成長が必要であり、そのためにはインフラの整備が重要である」と主張してきましたが、その主張がDACで取り上げられ、議論される機会を得られたということは、日本の援助関係者にとってまたとない好機ですので、力不足とは思いましたが、外務省から議長候補への打診があった際引き受けることにしました。
 2003年6月、議長選の結果副議長に選出されましたが、副議長に選出された第1回目の会合には議長が欠席したため、就任早々議事をとることになりました。その会合で、新生POVNETにインフラ、農業、民間部門育成の3つのタスク・チームを設置することが決定され、中でもインフラと貧困削減を議論するタスク・チームは、これまでの経緯から日本がリードすることを暗に期待されていました。結果的に、副議長に加えてタスク・チーム・リーダーへの就任も依頼され、これもお引き受けすることになりました。
 9月からタスク・チームの活動案の作成、POVNET会合での承認取り付け、活動案に沿った第1回ワークショップ開催の準備と作業を進めてきました。その過程では、JBICの先輩・同僚や吉田恒昭先生のサポート、問題意識を共有するドイツ代表団の協力を頂きました。こうした協力がなければここまで順調に作業が進まなかったと思われ、ご助力頂いた方々には大変感謝しています。インフラ・タスク・チームは、成果としてインフラ援助に対するDACメンバーの共通ポジションをまとめようという大変野心的な目標を掲げています。2004年3月に予定されているワークショップで各国のインフラ援助に対する取り組みを明らかにした後、それに続く2回のワークショップでは特定の課題やアプローチに対する議論に入ります。有益な結果を出すためには、POVNET各メンバーの積極的な参加が必要ですので、皆が平等に議論に参加できるよう配慮しながら作業を進めて行きたいと思っています。

庄司仁国際開発銀行開発セクター部次長
庄司仁国際開発銀行開発セクター部次長


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