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ColumnI-10 アフガニスタンにおける医療協力-カブール市冬季緊急医療事業-

 2002年6月に緊急ロヤ・ジルカ(国民大会議)が開催され、アフガニスタン移行政権が発足しました。国内情勢が安定するにつれて、パキスタン、イランなどに避難していた難民がアフガニスタン国内に帰還してきましたが、長く続いた内戦により社会インフラが破壊され、帰還しても職がない、家がないというような状況となっています。人々の困窮の度合いは、なかなか改善されないため、まだまだ国際支援が必要です。



 中でも、最も大きな痛手を受けている母親と子供達を救済するため、日本のNGOが、2002年9月にカブール市にメディカルセンター(母と子のための診療所)を開設しました。そして、続く2003年2月から5月にかけては、日本NGO支援無償資金協力(契約額 約956万円)によって、「カブール市冬季緊急医療事業」を展開しました。
 この事業の下、アフガニスタンの厳しい冬の中で、栄養失調児の救済を大きな目標として、小児患者を診察するとともに、栄養失調と診断した患者に栄養補給品を配布しました。2月から5月の間の数字を見ると、小児科来院患者数は、15,176人(うち栄養失調児2,749人)にのぼりました。この他にも、診療待ち時間を利用して、母親に対する公衆衛生、安全な水の使用方法や病気の予防に役立つ基礎知識を普及する等、幅広い医療協力は復興途上にあるアフガニスタンで大きな成果を挙げています。
 また、NGOから派遣された11人の中には、アフガニスタン人の4兄弟がいました。彼らは日本での留学経験者も含め、うち3人が医者ですが、4名とも日本の医療NGOのメンバーとして、困難な状況にある母国での医療支援活動に貢献しました。母国で十分な医療教育を受けられない人材を日本で育成し、彼ら自身の母国で医療活動に携われるよう支援するのも、日本の医療協力の1つの象徴的な形態といえるでしょう。

カブールのメディカルセンター
カブールのメディカルセンター

栄養補給品を配布する小児科の様子
栄養補給品を配布する小児科の様子


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