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ColumnI-8 中国のSARS対策に対する支援

 2003年前半に中国を直撃したSARSは、中国の経済・社会のみならず成立したばかりの胡錦濤新体制にとって深刻な挑戦となりました。それと同時に、日本にとっても多数の在留邦人を含む日本国民の健康、日中経済関係に直接大きな影響を与えうる問題でもありました。
 日本政府は、中国に対して迅速に支援を行い、機材供与、緊急無償資金協力等総額約17億6,000万円の資金・物資面での協力に加え、国際緊急援助隊の専門家チームを派遣しました。具体的には、個人防護装備、検査機材、検体保存・運搬用機材、医薬品、レントゲン装置、人工呼吸器等を中国各地の病院に供与した他、4人の緊急援助隊専門家チームが日中友好病院に対して感染症対策の技術支援を行いました。
 この迅速な対応は中国側のSARS対策に大きく寄与しました。SARS感染症対策病院に指定された日中友好病院は、日本が1980年代に無償資金協力で建設に協力して以来、日本の中国に対する医療技術協力の拠点であり、日本と中国の医師間の深い信頼関係を基礎に、ここに派遣された日本の専門家チームはSARS感染の拡大防止に大きな成果を上げたのです。
 このような日本の協力は中国側より非常に感謝されました。日本の支援は、中国国内で節目ごとに繰り返し報道され、胡錦濤国家主席を始めとする中国の政府首脳や外交部報道官も様々な機会に日本の協力に対する謝意を表明しています。また、政府の支援のみならず、友好都市関係、企業、在中国の日本人組織などによる寄付も幅広く報道されており、緊急事態に手を差し伸べる日本の良いイメージが中国国内で紹介されることとなりました。

SARS感染者の治療
SARS感染者の治療

日中友好病院(写真提供:国際協力機構(JICA))
日中友好病院
(写真提供:国際協力機構(JICA))


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