前頁  次頁


ColumnI-6 対イラク 日本・エジプト合同医療協力

 2003年5月、小泉総理がエジプトを訪問し、ムバラク・エジプト大統領との間で日・アラブ協調による対イラク人道・復興支援を行っていくことが合意されました。これは、イラクをより良く知る域内のアラブ諸国と協調することで効果的かつ真に必要とされる支援を行うと同時に、日本とアラブ諸国との関係緊密化を目指したものです。この両国首脳によるイニシアティブの具体的な試みとして、まず最初に合同でイラクに対する医療協力を行うこととなりました。この協力は単に緊急的な支援を行うものではなく、疲弊したイラクの保健・医療分野の再建、今後の発展を視野に入れつつ、そのために必要とされる医療技術の移転を主目的とするものです。イラク側よりも、きわめて高い期待が寄せられています。この実施に向けて、同年7月にはイラクに日・エジプト合同医療調査団が派遣され、医療機関の視察や、実際に現場で医療に携わる医師や看護婦との意見交換を通して具体的なニーズの調査が行われました。また、10月には研修の具体的な進め方を協議するために日本、エジプト、イラク3か国の関係者の参加を得てカイロ及び東京でワークショップが開催されました。
 このワークショップにおいて、3か国の関係者で協議を重ねた結果、大学病院レベルにおける人材育成に重点を置いた協力を行っていくとの基本方針のもと、カイロ大学を中心としたエジプトの医療機関において「内視鏡外科」「小児科」「看護」「ICU」の分野におけるイラク人医療関係者の研修を第一弾とする協力を行うことが決定されました。カイロ大学に対してはこれまで小児、看護等の分野で実に25年にも及ぶ日本の支援が行われてきています。こうした長年の協力の果実が他国への協力拠点として生かされることに対する高い評価が寄せられています。
 本協力は、現在、イラク支援の先駆けとして世界的に注目を集めています。また、日本でのイラク人医療関係者の研修や日本人及びエジプト人医療専門家のイラクへの派遣等、更なる今後の協力を検討しているところです。

カイロ・ワークショップ開会式
カイロ・ワークショップ開会式

カイロ大学総合病院視察風景
カイロ大学総合病院視察風景


前頁  次頁