ColumnI-5 アルジェリア地震災害への国際緊急援助隊の派遣
2003年5月21日午後7時43分(日本時間22日午前3時43分)、アルジェリアにおいて、マグニチュード6.7の大規模地震が発生しました。震源地はアルジェの東方ブメルデス県で、同県を中心に多くの家屋が倒壊するなど、甚大な被害に見舞われました(30日夜、ゼルーニ内務大臣は、死亡者は2,266名、負傷者は10,000名以上と発表)。
このような甚大な被害に対し、日本はアルジェリア政府の要請を受けて、22日、外務省、警察庁、消防庁、海上保安庁、JICAのメンバー61名よりなる国際緊急援助隊救助チームの派遣を決定しました。同救助チームは、災害発生の約18時間後には成田を出発、約39時間後には現地に到着して活動を開始しました。現地到着後、引き続き約36時間は、まさに不眠不休の活動で、その成果は現地時間23日(日本時間24日朝)、地震発生から52時間後に現れます。同救助チームは21歳男性(ホテル従業員)1名の救出に成功したのです。これはチーム隊員(海上保安庁の長谷川隊員33歳)が捜索活動中、瓦礫の下から人の声を聞きつけて発見し、トルコ救助チームと協力して救助に成功したものでした。このような大規模地震の際、生存者のほとんどは、震災直後に地元の救助チーム及び住民の手により、救助されるのが普通です。外国チームが到着する頃には、一定の時間が経過している上、非常に救出が困難な場所に埋まっている場合が多く、外国救助チームが生存者を救出するのは、非常に稀なケースといえます。この点、今次救助チームの生存者1名の救出は大きな成果であるといえます。
後日、石榑団長、長谷川隊員、福島隊員(医師)が救出された男性を病院に見舞った際には、同人及び母親から何度も感謝の言葉が表明され、また、倒壊したホテルのオーナーからは、日本の団長に対し感謝状が手渡され、日本救助チームの誠意ある活動とプロフェッショナリズムが讃えられました。また、同救助チームの活動は現地アルジェリアの人々からも広く感謝され、隊員に対する差し入れ等も数回にわたり行われました。同チームは最終的に上記1名の生存者を救出したのに加え、5名の遺体を収容し、29日、日本に帰国しました。
なお、日本はこの救助チームにつづいて、国際緊急援助隊医療チーム、さらに同隊専門家チームを続けてアルジェリアに派遣し、多数の被災者に対する医療活動及び建造物の耐震診断等を行うなど、継続した援助活動を展開し、多大な援助成果を挙げました。

救助チームによる決死の救出作業

被災者に対する医療活動