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資料編 > 第5章 > 第3節 > 4.途上国の女性支援(WID)イニシアティブ


4.途上国の女性支援(WID)イニシアティブ

我が国は第4回世界女性会議(1995年9月4日~15日、北京)において、WID分野の今後の取り組みを示すために「途上国の女性支援(WID)イニシアティブ」を発表しました。以下はその要旨です。

開発援助の実施に当たり、就学、就業、出産、経済・社会活動といった女性の一生のすべての段階を通じて、女性の地位の強化(empowerment)と男女格差の是正(gender equality)に配慮し、特に、教育、健康、経済・社会活動への参加、の3つの分野を重視し、開発途上国及び他の援助国、国際機関、NGOとも協力しつつ、WID分野の開発援助の拡充に努力する。各分野の具体的な目標と協力の例は次のとおり。

1 教 育
2005年までに、開発途上国における6歳から11歳までの男女格差をなくし、また、2010年までに開発途上国の6歳から11歳までの女子のほぼ全員が男子と同様に学校教育を受けられることを目指す努力を支援する。
(例)女子教育の教科書、教材の作成、普及/教員の養成/女子教育、訓練のための施設、設備の整備/成人女性の識字教育の促進

2 健 康
2010年までに、妊産婦死亡率(出生10万人当たりの妊産婦の死亡者数)を200以下に下げることを目指す努力を支援する。また、出産に対する圧力を軽減するという観点から、2015年までに、乳児死亡率(出生1,000人当たりの1歳未満の子供の死亡者数)を35以下に下げることを目指す努力を支援する。
(例)基礎保健医療体制の整備、強化/母子保健サービスの強化(乳幼児の健康診断、予防接種、栄養相談)/家族計画の普及/基礎データの整備能力の向上

3 経済・社会活動への参加
女性のための適正技術の研修・訓練の場の提供、女性の労働環境の改善、女性問題関連の法律、制度の整備のための協力を行う。また、経済活動への女性の参加を促進する上で、女性の起業家が多い零細企業の育成を支援していくことが有益であるため(我が国は、既に、インド・小企業育成計画に対する円借款供与、バングラデシュ・グラミン銀行に対する円借款供与等の実績あり)、かかる女性に対する支援制度の導入を支援し、また、資金協力等の積極的支援を行う。
(例)組織化のための助言、指導(例:機材供与や貸付の対象となりうる同業組合の設立)/零細企業の育成、その他経済・社会活動への参加に資する機材供与(例:縫製業支援のためのミシンの供与)/零細企業に対する支援制度への資金協力




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