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資料編 > 第5章 > 第3節 > 5.民主的発展のためのパ一トナーシップ(PDD)~Partnership for Democratic Development~


5.民主的発展のためのパ一トナーシップ(PDD)~Partnership for Democratic Development~

1.基本的考え方
民主主義、発展並びに人権及び基本的自由の尊重は、相互に依存し且つ補強し合うものである。人権の擁護・促進のため民主化を支援することは国際社会共通の重要な課題であると考えている。我が国は、途上国の民主的発展及び人権の擁護・促進のためには政府自身の意思のみならず、適切な制度、機関及び人材が必要であるとの考えの下、法律・統治・選挙・マスコミ等さまざまな分野における制度づくりを側面から支援している。また、かかる支援を行う際には、特に人権の擁護と促進という要素を常に念頭に置いた施策を実施すべきであると考える(被支援国に対し「人権」の側面を前面に押し出すか否かについては個別に判断すべき)。この点、人権状況に問題が残ると思われる国であっても、その改善に努力している国に対しては積極的にこれを評価し、かかる動きを支援してゆくことが、結果的に人権の擁護・促進という目標の達成に効果的に結びつくものと考える。

2.PDDの発表
我が国は、96年のリヨン・サミットに際し、法・司法制度や選挙制度の整備のための支援、司法官・行政官・警察官の研修、人権の擁護・促進のための協力等に代表されるこれまでの日本の取り組みを整理した上で、これを「民主的発展のためのパートナーシップイニシアティブ(Partnership for Democratic Development Initiative)」として発表し、今後ともこれら取り組みを強化していく意思を表明した。また、その際、人権の擁護促進という要素の他、以下のような原則を常に念頭に置くこととした。
<PDD原則>
 (1)途上国との共同作業(Partnership)に基づくものとする。
 (2)途上国の自助努力を原則とする。
 (3)途上国との協議・同意を得て実施する。

3.具体的取組
(1)各種制度作り支援:専門家派遣、研修員受け入れ、政府指導者等関係者招聘を通じ、法制度、行政制度、警察制度等に関する講義や我が国制度の紹介を行い、制度整備を支援している。
(2)選挙支援:要員派遣、資金援助、研修及び機材供与等を通じて選挙が民主的に行われるように支援している。
(3)知的支援:人権・民主化関連研究、文化、教育施設へ助成、オピニオン・リーダー及び文化人等の派遣・招聘を通じ、人権の促進及び民主化を間接的に支援している。
(4)市民社会の強化:選挙教育、指導者育成、メディア育成のための支援、研修等を通じ、民主化の土台となる市民社会の強化及び「人造り」に貢献している。
(5)女性の地位向上:開発における女性の役割、女性の人権等に着目し、女性の地位向上、政治参加の拡大を目指して支援している。



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