資料編 > 第4章 > 第2節 > 8.スウェーデン
8.スウェーデン
(1)援助政策等
スウェーデンの援助の主目標は貧困に苦しむ人々の生活水準の改善にあり、この主目標の下に、資源の拡大、経済的・社会的平等の拡大、経済的・社会的自立、社会の民主的発展、長期的視野に立った天然資源開発及び環境への配慮、男女平等の推進の6つの目標が議会により定められている。
2001年のスウェーデンのODA実績(DAC報告ベース)は、16億6,600万ドル(対GNI比0.81%)、対前年比7.4%減であった。スウェーデン政府は96年、当時の厳しい国家財政の再建のため、97年度以降99年度までの3年間、援助予算をGNP比0.7%の水準まで引き下げることを決定したが、その後財政状況は回復し、2002年の政府施政方針演説では、財政事情が許せば今後4年間のうちに援助予算を対GNI比1%に引き上げることを目指すとの方針が示されている。このため、援助予算は2003年には0.81%に増額されるとの見通しである。
援助の内訳としては、援助総額の70.6%が二国間援助、29.4%が多国間援助となっている(2001年実績)。また、贈与比率は99%以上であり、アンタイドを原則としているが、例外的に譲許的信用についてはタイド又はアンタイドとすることができることとされている。
緊急援助や人道援助を含めると、スウェーデンの援助を受けている国は100か国を越えるが、スウェーデンでは70年代初期以降、援助重点国(プログラム・カントリー)制度を実施しており、これらが援助の主対象となっている。この制度の目的は、 20か国程度の援助重点国に対し2~3年にわたる援助を表明することで、被援助国がスウェーデンの援助を自らの長期的開発戦略全体に組み込むことができるようにすることである。援助重点国は、スウェーデンの援助目標、歴史的関係、人道的見地、貧困の度合い等を考慮して選定されている。
地域別では、アフリカ、次いでアジアに比重が置かれており、南部アフリカ、東部アフリカに主要援助対象国が位置している。
NGOを通じた支援も盛んであり、開発プロジェクト、緊急援助、啓蒙活動、人道支援を中心に援助予算全体の23%(2000年実績)がNGOを通じて分配されている。
国際機関を通じた援助においては、UNDP、UNICEFを重視してきたが、近年は、難民救済として、UNHCR、UNRWAを通じた支援にも力を入れている。
(2)実施体制
援助の担当大臣は開発協力・移民難民政策大臣(スウェーデン外務省には省の長たる外務大臣とは別に援助担当の閣内相が置かれている)であり、これを外務副大臣(国際開発協力担当)および、外務省国際開発局が補佐している。援助政策の企画・立案、予算計上は外務省が行い、援助の実施は、国際機関を担当する外務省国際開発局と二国間援助を担当するスウェーデン国際開発協力庁(Sida:Swedish International Development Cooperation Agency)によって行われる。また、地域ごとの援助戦略については外務省とスウェーデン国際開発協力庁(Sida)が共同でこれを立案することとされている。
なお、外務省国際開発局の職員は約70人、Sidaの定員は現在約850人(うち国内約690人、海外約160人)となっている。
(1)ODA上位10か国
(2)地域別割合の推移(外務省分類)
(3)分野別割合の推移