I-30 「変える会」最終報告書のODA関連部分
V.ODAの効率化・透明化
1.無償資金協力の選定・実施過程の透明性を確保するための施策【2002年度中に実施】
(1)以下の点を確保した民間人による無償透明小委員会を経済協力局長の下に置く。
(イ)委員は金融・開発経済・法律・会計等の専門家5人程度とすること
(ロ)任期は2年とすること
(ハ)開催頻度は月に1回程度とし、会議は非公開(秘密保持厳守)とすること
(ニ)委員会はODAプロジェクトの要請、選択、審査、承認、入札(入札予定価格と落札価格の比較)、実施の状況について説明を受けること
(ホ)年に1回簡単な評価レポートを公表すること
(2)無償資金援助の実施機関選定方法を指名入札から事前資格審査+一般競争入札に変更する。
(3)調達品目の妥当性や価格の適正性について第三者による外部監査を受ける。
(4)無償資金協力予算の繰越しを弾力化する。
(5)本年4月1日、国際協力銀行(JBIC)が作成した「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を踏まえ、無償資金協力の環境社会配慮ガイドラインを策定する。
2.ODAの評価を拡充し有効性を検証するための施策【2002年度中に実施】
(1)経済協力評価室を経済協力局から大臣官房へ移す。
(2)第三者評価を拡充しNGOや国際機関等との合同評価体制を促進する。
(3)供与額の多い被援助国からの評価レターの提出・公表を義務付ける。
(4)食料増産援助(2KR)の被援助国における実態について、NGOなど国民や国際機関から評価を受けて情報を公開するとともに、廃止を前提に見直す。
3.円借款の債権放棄に関し、国民への説明責任を果たすための施策【2002年度中に実施】
(1)以下の点を確保した円借款償還審査委員会を設立する。
(イ)委員は金融・開発経済・法律・会計等の専門家とODA実施機関から選定すること(秘密保持厳守)
(ロ)委員会は国別円借款合計額、返済状況、被援助国における債務管理状況とインフレ・為替変動の影響、債務救済無償総額、追い貸し状況、損失見込み額等を分析し、今後の国民負担額についてまとめること
(ハ)年次報告書を公表すること
(ニ)委員会は外務省の予算である債務救済無償資金協力の廃止を前提に2003年度以降の債務救済戦略と円借款の量的削減等について提案すること
4.ODAの選定・実施過程の効率化を確保するための施策【直ちに実施】
(1)ODAの効率的・一元的実施を図るため、関係省庁間に分散している様々な機能・役割を徹底的に見直す。重複した人材使用や整合的でない実施体制を合理化するため、関係省庁との協議を直ちに開始する。このような見直し・協議を踏まえ、一元的組織形成を念頭に、より望ましい組織形態の検討を開始すべきである。その際、以下の点に留意しなければならない。
(イ)可能な業務は民間に委託すること
(ロ)人員・組織の思い切った合理化を行うこと
(ハ)実施機関の所管を政策の一元的実施の観点から合理化すること
(ニ)ODAの戦略策定、国別援助計画の策定、有償・無償・技協間の予算配分、その他政策立案につき、内閣に対し適切な政策提示ができること
(ホ)財務諸表および所管の実施機関を含めた連結財務諸表を作成し、外部監査を受けること
(ヘ)適切なODA評価マニュアルを作成し定期的かつ整合的な外部評価の実施ができること
(ト)政策決定の要職ならびに職員に、開発援助の専門家・NGO経験者など多数の民間人を登用すること
(チ)開発援助の真の専門家と言い得る人材を養成する機能をもつこと