I-7 小泉構想(概要)
1.基本的考え方
○持続可能な開発の実現のためには開発と環境保護をともに達成する必要。
○全ての国・主体が、認識、戦略、責任、経験・情報を分かち合うべき。
⇒「グローバル・シェアリング(地球規模の共有)」
その上で、ミレニアム開発目標の達成に向けて、既存の合意(ドーハ、モンテレイ等)の実施のため具体的行動を積み重ねることが重要。
○日本は、途上国の自助努力(オーナーシップ)を支援するため、国際社会のパートナーシップの拡充を図りつつ、以下の具体的な支援を実施。
2.重点分野と取組
(1)人間と希望(人づくり)
持続可能な開発のためには、良い統治の下、市井の人々が希望を持ってその能力を最大限発揮することが不可欠。
⇒そのためには、「人づくり」(教育、保健、ジェンダー)が重要。人への投資と知識・技術の共有が鍵。
(イ)人への投資:「人づくりは国づくりの基礎」
-教育
-保健
(ロ)知識
(ハ)科学技術:開発と環境保護をともに達成するための突破口
(2)自立と連帯 -開発-
途上国の自立的な成長を通じて、持続可能な開発と貧困削減の促進を図ることが必要。そのために幅広い資源を動員。
(イ)貿易・投資:「持続可能な開発」の実現のために、貿易、民間投資を促進(わが国の途上国からの輸入額は、年間約1,500億ドルに達している)。
(ロ)エネルギー:経済活動の基礎であるが、限られたエネルギー資源の効率的且つ環境と調和のとれた形での利用を推進。
(ハ)農業・食糧:緑の技術革新を通じた食料安全保障に貢献。
(ニ)援助:わが国は過去10年に亘り、世界最大の援助国としてDAC諸国によるODAの5分の1にあたる約1,200億ドルを一国で供与。また、拡大HIPCイニシアティブにおけるG8負担分の約4分の1に上る48億ドルの貢献を実施。今後も効果的・効率的な実施を心がけながら、最大級のドナーとして積極的な役割を果たす。
(ホ)アフリカ:「アフリカ問題の解決なくして21世紀の世界の安定と繁栄なし。」自助努力(オーナーシップ)の発露であるNEPADを支持。
(3)今日と明日 -環境-
人類存立の基盤を脅かす地球環境破壊の問題に今日取り組まなければ、21世紀は暗い世紀となる。
(イ)環境関連途上国支援:地球環境問題に取り組むため、環境分野での人づくりを含め、ODAを中心とした環境協力を更に充実。
(ロ)気候変動:地球温暖化対策の実効性確保のために、途上国を含む全ての国が参加する共通のルールの構築が重要。
(ハ)森林:森林の有する多面的な便益(生態系の維持保存、地球温暖化防止、水源の涵養、木材生産等)を踏まえ、違法伐採問題への取組を含め、森林の持続可能な経営を促進。
(ニ)生物多様性:絶滅の危機に瀕する生物種の保護や地域の重要生態系の保全を通じて、自然環境の有する恵みの享受に貢献。
(ホ)水:飲用水、公衆衛生、農業、経済活動、自然環境の保護、防災等の様々な観点から水の問題に積極的に対処。
(ヘ)環境関連条約の速やかな発効・早期締結に努力。