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I-4 山谷清志外務省経済協力局評価室長

注)



ODA評価は研究テーマとしては非常に興味深く、魅力的な分野です。学問の応用が進んでおり、研究者が現場に関わる機会が多いからです。しかし、まさか自分がODA評価の担当者になるとは夢にも思いませんでした。外務省改革という大きな変革が夢を現実に変えてしまったのですが、研究者が実務家になる極めて珍しいケースで当初は戸惑うことばかりでした。しかし最近になって至極当たり前の事実、つまり研究の理論と行政の実際とは違うものだという事実を思い知らされました。現場では種々複雑な背景や条件が絡み合って結論が出ているのですが、研究者はそうした背景や条件に疎いので、出た結論をそのまま受け取ります。ですからずいぶん勘違いも多くなります。また、外務省では常識だと思われている事柄について私が質問したときの反応も、とても興味深い事例です。「こんな常識も通じないのか」ということなのですが、素人の私に説明する過程で、はからずも自分の仕事を見直す(再評価する)ことになっているようです。こちらの常識はあちらの非常識、お互いがそれに気づくこともまた「アカウンタビリティ(説明責任)と透明性」のひとつなのかも知れません。

 
第2回ODA評価東京ワークショップにて(左端が筆者)

注)筆者は、2003年4月1日より外務省大臣官房考査・政策評価官室長に就任


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