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3.ミャンマー

ミャンマーに対しては、88年の民主化要求運動による政情混乱、その後の国軍によるクーデター以降、わが国の援助は原則として停止していましたが、95年のアウン・サン・スー・チー女史の自宅軟禁解除などに見られる同国における事態の改善に鑑み、従来の方針を一部見直し、同国の民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、当面は継続案件や民衆に直接裨益する基礎生活分野の案件を中心にケース・バイ・ケースで検討の上、実施することとしました。
2000年10月には、同年4月に国連事務総長特使に就任したラザリ氏(マレーシア元国連大使)の働きかけもあり、ミャンマー政府とスー・チー女史との間で直接対話が開始されました。その後、政府は、2001年1月からこれまでに国民民主連盟(NLD:National League for Democracy)党員等の政治犯530名余りを釈放しています。
こうした中、2002年5月には、政府は更なる政治犯の釈放を約束し、政治活動の自由を認めることを確認するとともに、スー・チー女史に対する行動制限を解除しました。わが国はこれを歓迎し、ミャンマーの民主化と国づくりに向けた努力を支援するとの観点から、同月、バルーチャン第二水力発電所補修計画への無償資金協力を実施することを決定しました。
また、2002年8月に川口外務大臣は現職大臣として19年ぶりにミャンマーを訪問し、政府及びスー・チー女史の双方との間で民主化に向けた更なる努力を直接働きかけるとともに、政権側とスー・チー女史が人道分野における政策対話を進めた結果としてミャンマー国民が必要としている基礎生活分野の案件が出てくれば、これを積極的に支援していきたいとの考えを伝えました。
わが国としては、今後とも、最近のミャンマーにおける民主化へ向けた動きを不可逆なものとするべく、外交手段を通じた働きかけとともに、民主化と国づくりに向けた支援を適時適切に実施することにより「援助を効果的に行う外交」の推進に努めていく考えです。


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