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第3章 ODA大綱原則の運用状況
ODA写真館[7]:お札の図柄にもなった日本-ラオス大橋(ラオス:無償資金協力)
92年6月に閣議決定された政府開発援助大綱(通称ODA大綱)には、国際連合憲章の諸原則(特に主権、平等、内政不干渉)及び4つの原則を踏まえ、相手国の要請、経済・社会状況、二国間関係等を総合的に判断した上でODAを実施すべき旨規定されています。
また、ODA大綱原則の運用に当たっては、特に軍事支出や武器の輸出入、民主化、人権保障等の諸点について、各国の状況をモニターして適時・適切に対応しています。相手国に好ましい動きがあった場合には、他の外交的手段と併せ、援助を通じてもそうした動きを積極的に促進することが重要です。逆に、好ましくない動きがあった場合には、相手国の政治・経済・社会状況や置かれている安全保障の状況、さらにはそういった状況が過去と比較して改善されているか等を含め総合的な観点から検討の上、適切な措置をとっています。以下、その具体例について、中国、インド、パキスタン、ミャンマー、コートジボワール、イエメンについて説明します。
1.中国
わが国は、対中ODAについて、ODA大綱を踏まえ、その効果的・具体的な実施に努めています。最近の具体例としては、以下の取組を実施しています。
中国では急速な経済発展の一方で環境問題が深刻化していることから、わが国は、「日中環境開発都市モデル構想」をはじめとする様々な協力を通じ、中国の環境問題の改善に向けた努力を支援し、「環境と開発の両立」を促しています。なお、2001年10月に策定された「対中国経済協力計画」においても、環境分野の重視が大きな柱の一つとなっています。
中国の軍事支出や武器輸出等の動向については、わが国は、その動向を注視するとともに、わが国国内における中国の国防予算の増加等に対する懸念を伝え、透明性向上等を様々な機会に働きかけています。2002年9月の川口大臣訪中においても、銭其
副総理に対し、対中経済協力に関連して中国が国防費等について更なる説明を行い、透明性を高めるよう求めました。
中国は、改革・開放路線を積極的に進める中で、2001年12月のWTO加盟を経て、現在、加盟時の約束事項の履行に努めつつ、国内諸制度の改革を進めており、市場経済化への歩みは着実に進展しています。わが国は、WTO加盟に関連した法制度整備や、金融制度改革への協力等の支援に積極的に取り組んでいます。
わが国は、このような取組をはじめ、「対中国経済協力計画」にも述べられているとおり、ODA大綱の考え方については、ODA関連協議に限らず、ハイレベルを含む二国間の様々な協議の場などを活用して、中国側の認識と理解が深まるよう最大限の努力を払ってきています。わが国は、こうした協議等を通じて、相互理解と相互信頼を一層増進させ、中国が国際社会の主要な一員として積極的な役割を果たしていくよう促していくこととしています。
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